Exhibitions展覧会
門田 訓和「physical time」
「表象としての彫刻」を探求してきた門田訓和による個展。色彩豊かな過去作品に加え、本展では新作としてモノクロによる写真作品を中心に構成。壁掛け、床置きによる作品展示から、「彫刻とは何か」・「彫刻を見る経験とはどのような経験か」という問いを投げかける。
門田訓和はこれまで,「表象としての彫刻」を探求してきました。
たとえば2011年から今日まで断続的に手がけられてきたカラーペーパーを用いたシリーズは,台のうえに複数枚のカラーペーパーを準備し,重ね方や配置を変え,その様子を多重露光によって撮影することで作られるものです。色彩の重なりが美しいそのシリーズは,耽美的な写真作品として鑑賞できるほどの美的感覚を備えています。
しかし門田の関心は,結果として生じる美しさにあるのではなく,その美しさを作り出している原理へと向いています。二次元のカラーペーパーによって,淡い立体感や奥行きの感覚を作る。あるいは折ったり皺を付けたりすることでカラーペーパーの物質感を強調しつつ,同時に,それらを多重露光で撮影することで実体性を欠いた半透明のイメージへと変える。ここで門田はカラーペーパーを,二次元と三次元とを,あるいは物とイメージとを往還するものへと転換し提示しているのです。
彫刻という行為が,作家が物に介在することで形態の変容を及ぼし,物に新たな立体感や空間との関係性を与えるものとするのなら,門田のこのシリーズは,彫刻が立ち上がる瞬間を記録するものだと言えるでしょう。物質感や立体感をあらかじめそなえた粘土や石膏といった彫刻におなじみの素材ではなく,物質感が乏しく平面的なカラーペーパーを用い,また,どのようなものであっても物体として認識される現実空間ではなく,写真という表象空間の中で作品を作り上げておきながら,それでもなお,そこに立ち現れる立体感や空間性。先に「表象としての彫刻」という言葉を用いたのは,門田の作品がこうした感覚を与えるからに他なりません。
今回の展覧会で門田は,これまでの制作上の関心を引き継ぎつつ,新たな展開を見せます。出品作品はこれまでと同じく写真を用いて作られているものの,従来の作品を特徴付けていた色彩の美しさは後景へと退き,門田の行為の痕跡がより明示的に残されることとなります。また,従来の作品が写真作品として壁面に掛けられていたのに対し,本展の出品作品は,オーソドックスな彫刻作品と同じように床に置かれるものも含みます。
行為の痕跡と物体感。我々が彫刻と呼ぶ作品から看取してきたこれらの感覚を,一般的な彫刻の形式からかけ離れた彫刻ならざるものをとおして,鑑賞者へと差し向ける。そのような門田の出品作品は,「彫刻とは何か」・「彫刻を見る経験とはどのような経験か」という問いを照射することになるでしょう。ぜひご高覧ください。
安西水丸
1985年,岐阜県生まれ。2009年,武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。2012年,京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻 専攻修了。現在,東京都在住。
【主な展覧会】
2010年 「NOTE」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
2011年 個展「OPEN STUDIO」Sitter Werk(スイス・ザンクトガレン)
2012年 個展「before that」ARTZONE(京都)
2015年 「藪の中」Galerie Aube(京都)
「これからの,未来の途中」京都工芸繊維大学美術工芸資料館
「群馬青年ビエンナーレ2015」群馬県立近代美術館
個展「ehereabouts」gFAL(東京)
2016年 「未来の途中の先を夢見る」ARTZONE(京都)
展覧会概要
期間 | 2016/06/16(木) 〜 2016/07/03(日) |
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会場・開催場所 |
Gallery PARC
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時間 | 11:00~19:00(金曜日は20:00まで/最終日は18:00まで) ※月曜休廊 |
料金 | 無料 |
お問い合わせ |
TEL:075-231-0706075-231-0706
FAX:075-231-0706 |
info@galleryparc.com | |
ホームページ | http://www.galleryparc.com |
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