Exhibitions展覧会
むらたちひろ「internal works 教会の捗り」
美術作家・むらたちひろの個展。型染などの染色技法による絵画作品の他、『染める/染まる』を精神的側面における現象にも重ね、様々なアプローチで自身の染色を展開。放たれた色が、水の動きや接する素材によって動きを変えることに着目した新作を中心に『境界』を描き・体感するインスタレーションを展開します。
京都出身の美術作家、むらたちひろの個展です。
むらたちひろは、「染色」への探究心を始点に、「染める/染まる」という行為・現象に着目した作品制作に取り組んでいます。ロウケツ染や型染を応用した独自技法により、一度染めあげた図像を水で滲ませることで日々移り変わる心象風景を描いた絵画作品を発表してきたむらたは、近年に染色への眼差しをより広く・深める作品制作に積極的に取り組んでいます。
展覧会のタイトル「internal works」とは、「染める/染まる」を物理的な側面だけでなく、精神的な現象・行為とも解釈し、「本質的な・内在的な・体内の」というニュアンスを含む[internal]という語を合わせた造語であり、近年のむらたの興味と視点を表す語であるといえます。
「染める/染まる」は染料や繊維、粒子、引力などの物質・科学に拠る現象であり、染色は長い歴史の経験からそれらを技術に昇華させた行為であるといえます。また「染める/染まる」は私たちの心や精神の内に、あるいは現在の世界の様相にも見ることができる現象・行為であるともいえ、むらたはミクロとマクロの視点、あるいは物理的・精神的な側面からの視点によって染色を捉え、解釈することで、その多様な重なりの「内と外」に作品を成そうとしています。
とりわけ、2017年の「未来の途中プロジェクト 未来の途中の、途中の部分」で発表された作品《境界 borders / boundaries》は、いくつかの極から異なる色が滲み、ぶつかり、互いに染め合い、いつしか境界線の消失した曖昧な色面を布に留める作品とともに、「旗のイメージ」が重ねられたものです。この「あちら」と「こちら」という『境界』を持ちながらも曖昧に混じり合い、混じり合いながらも決してひとつになることはない様相には、染色の持つ現象の美しさ、「染める/染まる」が持つ強さや弱さとともに、あるいは「個 集団」、「過去 未来」、「善 悪」、「生 死」といった、極に固定化して捉える私たちの世界もまた、揺らぎ・震える豊かな曖昧さの中に在ることをイメージさせます。
むらたの「染」は、私(内)と世界(外)における「染める/染まる」の透明な現象・行為に色を与え、写し出しているとも思えます。鑑賞者は作品に目を凝らし、眺め、想うことで「ここ(私と世界)で何が起こっているのか」へと視点を移すとともに、いつしか内も外もない境界のただ中に位置させられることで、「あちら」と「こちら」を否応なく行き来する「眼差し」そのものを体験することができるのではないでしょうか。
展覧会概要
期間 | 2018/06/15(金) 〜 2018/07/01(日) |
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会場・開催場所 |
Gallery PARC
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時間 | 11:00~19:00(金曜日は20:00まで) ※月曜休廊 |
料金 | 無料 |
お問い合わせ |
TEL:075-231-0706075-231-0706
FAX:075-231-0706 |
info@galleryparc.com | |
ホームページ | http://www.galleryparc.com |
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