Exhibitions展覧会

ブランクの住空間:松井沙都子 展

2015/09/18(金) 〜 2015/10/04(日)

Gallery PARC 

大阪出身のアーティスト、松井沙都子による個展。近年、日本の住空間を独自観点で解釈し、造形的に象ろうと取り組んでいる松井は、今回の個展でインスタレーションと写真作品によって住空間のもつ『空っぽ』の認識を表現し、人々の認識を改めて問います。会期中にはトークイベントも予定しています。

《モデルホーム》 2015 協力:UR都市機構 撮影:箕面粟生団地 ©Satoko Matsui

大阪出身のアーティスト、松井沙都子による個展です。

松井は、2007年の個展「THOM」(gallery wks./大阪)以降、近年のおもな展覧会では「はならぁと こあ 奈良きたまちエリア『在り処をみる』」工場跡(奈良/2014)、「TWS-Emerging 206 /Blind Place」(トーキョーワンダーサイト本郷/2013)、「悦ばしき知覚」(ギャラリー16・京都/2013)など、大阪・京都・東京を中心に多くの個展・グループ展などによる継続的な活動を続けています。

これまで主に絵画作品に取り組んできた松井は、近年「現在の日本の生活空間をテーマに、『空っぽ』な状況を体験的に見せるインスタレーション作品」を続けて制作しています。今回の展覧会もまた、この試みの流れにあるものとなります。

松井は近年取り組む作品について、「現在の日本の生活空間を独自の観点によって解釈し、造形的に象ろうとする」ものとし、そこに「1. 生活空間にまつわる表層の脆弱性 2. 身体感覚としての空洞 3. あるものが一定に留まらない状態」という視点を据えています。
例えば、私たちが身体を置く見た目に整った住空間は、おもにコンクリートや石膏ボードなどの建材の表層に、ごく薄い壁紙や木目のプリントされた内装材、暖かな色味の照明器具などによって構成されているものが多くあります。言い換えれば、私たちの住空間はこの薄い表層と、いくつかの少ない要素によって成立しており、ここに日常として暮らし、あるいはそこに安らぎや郷愁を覚えるほどの原風景としてすら認識しています。また、私たちはその表層に触れることで、その材と視覚との差異を認識しており、目と身体による認識の矛盾をも同時に共有しているとも言えます。
住空間におけるこれらの不整合は、私たちの日常の脆さとともに、整合されることのない視覚と身体のあいまいさに対する「私たち」の認識のあり方に深く関わるものであります。そして、そこに眼差しを向けることは、私たちの「不確かさ」や「曖昧さ」を少しだけ明らかにする行為であると言えます。

インスタレーションと写真作品によって構成する今回の展覧会において、松井は一瞬の「空っぽ」を出現させようと試みます。それはまた私たち自身の「空っぽ」を映し出すとともに、それらを内包する私たちの在り処を問うものであるかもしれません。

この機会にぜひご注目ください。

※10月3日(土)はニュイ・ブランシュKYOTO2015参加のため22:00まで開廊いたします。
 

【関連イベント】トークイベント 松井沙都子×山本聖子

ゲストに山本聖子氏(美術家)をお招きし、出展作家・松井沙都子氏と対談を行うトークイベントです。
幼少の頃からニュータウンで育ち、『内側(プライベート)を感じさせない均質な空間の集合を原風景に持ちながら、その機能性・合理性優位な都市に暮らすなかで自身の感覚機能の衰えに焦燥感を感じずにはいられなかった』という山本聖子。彼女はその自身の身体感覚を始点に、これまでに「間取り図」を用いた作品などを制作・発表しています。
この「都市空間における身体の不確かさ」といった興味領域は、松井沙都子の現在の制作テーマに符合する部分も多く、今回の展覧会では両者に共有される身体感覚から互いの制作にまつわるお話しまでを対談形式でトークします。

日時:2015年9月26日(土)16:00~(約75分予定)
※参加無料・事前予約不要
 

松井沙都子

1981年大阪府出身。2004年京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒号。同大学大学院を経て、2015年同大学大学院美術研究科博士(後期)課程油画領域満期退学。

http://matsui-satoko.com/

【主な個展】
2007年 「THOM」(gallery wks/大阪)
2008年 「クロージング展」(gallery Den58/大阪)、ドローイング展(石田大成社ICB/京都)
2009年 個展(Five mansion gallery/神戸)、「a ghost」(neutron kyoto/京都)
2010年 「a mimic」(neutron tokyo/東京)
2011年 「Phatom hides upstairs」(neutron tokyo/東京)、「Phantom hides on the wall」(neutron kyoto/京都)
2012年 「This is dummy」(neutron tokyo/東京)
2013年 TWS-Emergining206「Blind Place」(トーキョーワンダーサイド本郷/東京)

その他グループ展多数

展覧会概要

期間 2015/09/18(金) 〜 2015/10/04(日)
会場・開催場所 Gallery PARC
時間 11:00~19:00(金曜日は20:00まで/最終日は18:00まで)
※月曜休廊
※10月3日(土)はニュイ・ブランシュKYOTO2015参加のため22:00まで開廊
お問い合わせ TEL:075-231-0706075-231-0706
FAX:075-231-0706
E-Mail info@galleryparc.com
ホームページ http://www.galleryparc.com

関連アートイベント

該当するアートイベントはございません。

関連記事

該当する記事はございません。