Exhibitions展覧会

showcase#5 「偶然を拾う-serendipity-」

2016/05/06(金) 〜 2016/05/29(日)

eN arts 

写真評論家・清水穣氏のキュレーションによる現代若手写真家の作品で構成したグループ写真展。第5回は「スナップショット」をテーマに、麥生田兵吾、カワトウ、迫鉄平の3名の作品を展示します。日常生活の中の偶然を写真として拾い続けることで世界と自己を表現するその作品を、ぜひご高覧ください。

2012年から開催されている、写真評論家・清水穣氏のキュレーションによる現代若手写真家の作品で構成したグループ写真展です。
5回目となる今回は「偶然を拾う-serendipity-」と題し、3名の作家による作品を展示します。

今回のテーマは「スナップショット」。
写真には被写体と写し方(構図、アングル、色、コントラスト等のエフェクト)がつきものです。しかし、エフェクトに反応し、被写体の文脈や物語に反応しているだけでは、写真自体を「見て」いることにはなりません。そこで、写真自体に注意を絞り込むため、撮影者は被写体やエフェクトに依存しない写真を考えます。何ということもない日常雑景を、何ら特別の技巧もなくごく普通に撮る。スナップショットの問題はここから始まります。
それは、被写体と技法のどちらも突出せず、両者のバランスのみにおいて成立する写真ということになるでしょう。このバランスを取るのはもちろん写真家です が、写真家は両者を単純に天秤に掛けるような存在にはなれません。被写体とエフェクトどちらに対しても、写真家は必ず何らかの関係におかれ、その影響や束縛を受けるからです。だからこそ、スナップショットは写真家の才能が最も露わになる写真といえます。

では、スナップ写真を見るとき、我々はその写真の光景の手前にいたはずの写真家を見ているのでしょうか?カメラの背後は写真に写りませんし、それどころか写真の光景の手前にいるのは、まさに今それを見ている我々です。つまり写真を「見る」とは、自分の外に出て、写真家に視点だけでなく視角や距離感を通じて身体ごと重なることに他なりません。つまりスナップ写真を見るとき、われわれは被写体でもエフェクトでも写真家でもなく、写 真家その人自身とは違う何か、写真家の非同一性non-identityに出会います。作家が作家自身の外へ出た、そのズレに、重なるのです。

かつて、スナップショットは、日常風景の中に潜在するリアリティを探り出して、それを表現するものでした。今回作品を展示する3名の写真家もまた日常風景を主題としていますが、彼らの表現はもはやそういうものではありません。むしろ日常の中で出会う偶然を拾い、写真にしつづけることによって、世界と自己を同定 identifyすることなく表現する、繊細な実験をしているように見えます。スナップショットという言葉が生まれてから100年以上が経った現代、2016年のスナップショットは、同一性identificationの外で世界と自己を繋ぐ、不断の実験の姿をとっています。ぜひご高覧ください。

■ オープニングレセプション:5月6日(金)18:00~20:00

出展作家

麥生田兵吾(むぎゅうだ・ひょうご)
1976年大阪生まれ。2010年1月よりいくつかの制約の下毎日写真を撮影しブログに発表する「pile of photographys 」をweb上で更新開始(現在も継続中)。近年では「Artificial S」と題した連続個展を開催。2014年キャノン写真新世紀佳作受賞(清水穣選)。世界と自己を非対称な対関係でつなごうとする日々の行為として写真を捉え、提示される日々の作品は清清しい輝きに満ちる。

カワトウ
1983年宮崎県生まれ。フリーフォトタブロイド誌「Noiz」発行や、インディーズ写真集レーベル「CITY RAT press」立ち上げなど、大阪を拠点に活動。都市の隙間に残された空き地や吹き溜まりなど、この世の必要性から脱落した故に図らずも「自由」となった空間・物体を主題に撮影したシリーズを継続。2015年個展「Chocomint Pink Salon」(Gallery Main)を開催し、これを見た清水により本展にスカウト。

迫鉄平(さこ・てっぺい)
1988年大阪生まれ。京都精華大学大学院芸術研究科博士後期課程在籍。2013年より関西圏のギャラリーで個展・グループ展を活発に行う。2015年キャノン写真新世紀グランプリ受賞。決定的瞬間をあえて外す、引き伸ばすといった手法で、スナップショットの視点・瞬間といった「点」の概念からの開放を試みる。個人での活動の一方、共同ユニット「THE COPY TRAVELERS」を結成し活躍中。

展覧会概要

期間 2016/05/06(金) 〜 2016/05/29(日)
会場・開催場所 eN arts
時間 12:00~18:00
※会期中の金・土・日のみオープン
※上記以外のお日にちについてはアポイント制となります。詳細はお問い合わせください。
料金 無料
お問い合わせ TEL:075-525-2355075-525-2355
E-Mail info@en-arts.com
ホームページ http://en-arts.com/portfolios/showcase-5-serendipity-jp/

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