Exhibitions展覧会

絵を描くときのイメージは、思い出したりしても無意味で、イメージ自体が存在しているように思います。
そのようなイメージの性質上、できるだけ一気で描くのが現時点では最善のようです。
その中で、手数を多くしていくと同時に、一回が効果的に描けるように工夫し、絵を完成させようとします。（松田）

京都市立芸術大学出身の画家、松田啓佑の個展です。
他に類を見ない独特の色彩感覚と力強い筆致を特徴とする松田は、「WORDS LIE Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ」展において脳裏に浮かび上がるイメージを絵画で表現。そして個展「STRAIGHTFORWARD」ではこれを更に発展させ、直截簡明に表現しました。

制作を続ける中、長年松田は「浮かび上がるイメージが長時間持続せず、記憶にとどまらない為、キャンヴァス上でそのイメージを再現することが容易に運ばない」という問題に直面していました。
その解決の突破口となったのが、その後開催した「STABILIZATIONⅠ/Ⅱ/Ⅲ」展です。この際松田は、彼独自の大胆な構図をもって、いつものように浮かびくるイメージを脳裏で一旦整え、変換させたものを一気にキャンヴァスに定着させました。完成したイメージは絵画性を深め、次なる展開への期待感へと繋がりました。

今回の「UNREVIVABLE」展では、「STABLIZATION」展におけるイメージ変換要素に新たに色彩を加えることにより、松田がコントロールする領域を広げました。イメージがズームアップされ、いきなり飛び出てきたような完成イメージがなんともリズミカル。まるでパーカッションを携えたメロディを聴いている感覚です。

eN artsの2016年最初を飾る展覧会、この機会にご高覧ください。
 

松田啓佑

2007年 京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業
2009年 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了

【主な個展】
2009年 eN arts（京都／2011-15）
2014年 トーキョーワンダーサイト渋谷（東京）

【受賞】
2009年 アートアワードトーキョー2009：佐野直樹審査員賞
2013年 TOKYOWANDER WALL 2013：入選

その他グループ展多数