Exhibitions展覧会

京都を拠点に国内外で活躍している現代美術家・山元ゆり子の個展です。

山元は2002年にフィリップモリスK.K.アートアワードにおいて最年少受賞を果した後、ニューヨークP.S.1コンテンポラリーアートセンターでの展示をはじめ、国内外で精力的に作品の発表を行ってきました。
彼女の作品は主に、鑑賞者を主人公とした、心象的現象や概念的な出来事に遭遇する体験の創造で、鑑賞者を作品に取り込んでいく形態が多くを占めています。テキスト、音響、照明、舞台装置、時には役者も用いて、物語性のある空間と仕掛けを用意し、鑑賞者を体ごと作品体験へと導きます。

近年は光や時間軸、仕掛けから作られるシチュエーションの中で、鑑賞者が感覚的知覚を通し自らの意識に触れることをテーマに作品を制作してきたという山元。今回の展覧会では「フラッシュドローイング」と題し、光とその認識の仕方によりさまざまに現れる色や形とその部分と全体を使っての新作を展開します。
この「フラッシュ・ドローイング」の作品群は、どれも真っ暗で何も見えない空間から始まり、進む、動く、止まるといったシンプルな体の動きに反応し、目の前に光が現れたり消えたりします。これにより、連なっているように感じる時間や見えている景色、今確かに見えている体でさえも意識の中にあるような感覚を呼び起こし、その所在があいまいになるような時間を作り出します。何もないように見える闇の中に、すべてがばらばらに同時にあって、「今」という一瞬の意識が、光としてそれらを映し出す。ここだけの体験をぜひご高覧ください。