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【KYOTO EXPERIMENT 2012】 Billy Cowie

投稿:2012年9月28日

今回、Billy Cowie(ビリー・カウィー)の展覧会についてレポートします。

 

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photo by Billy Cowie

 

開館5分前、京都芸術センターに到着。
老いの中に気品が散りばんだ建造物。この雰囲気、京都らしいと感じました。
今回の展覧は計3作品。北ギャラリーで『The Revery Alone』『In the Flesh』、南で『Tango de Soledad』がそれぞれ展示されています。


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まず、南の会場へ。
真っ暗な室内、壁に照らされるブレた映像。いきなり、異空間にのみ込まれます。
入口で借りた3Dメガネをかけてみました。不自然な視界、網膜がしゃっくりしてる感じです。
次第に慣れると、凛とした美しい女性が浮かび上がりました。
一脚の椅子が佇む、誰もない部屋。彼女は声に合わせ、ひとり踊り続けます。
平面から生まれた奥行を自由に行き来し、体現されるのは〝恋人が去った後の気持ち〟です。最前列で舞台を見上げているような感覚で鑑賞できました。
距離や角度を変えてみましたが、正面の至近距離から見るのが個人的に最もオススメです。ただし、あまり近づくと、映像に影が映り込んでしまうのでご注意下さい。

北ギャラリーでは、さきに『In the Flesh』を鑑賞。
ヘッドホンを被り、床に投影された映像を見下ろします。
アメリのような髪型をした女性。寝転んだまま、猫のように身体をくねらせ踊ります。
絨毯の擦れる音、ピアノの音が鼓膜を刺激し、ダンスにアクセントを加えていきます。
そして、彼女は手足の甲を揃えて、動くのを止めます。そのポーズがどこか象徴的でした。
最後は、『The Revery Alone』。
靴を脱いで寝転がり、上を見るユニークな鑑賞方法です。
天井にぶら下がる全裸の女性。4つの吊り手に掴まり、窮屈そうに踊ります。
仰向けからうつ伏せ。そして、また仰向け。重力に逆らう身体は音のない悲鳴を上げ、姿形を変えていきます。その軌跡をずっと見上げてました。
だらん、と伸びた手足が異常に長く、別の生物のように見えます。そのまま反り返りって、こっちを見た両目が頭から離れません。

総じて約30分。
前衛映画を観たのに近い感覚でした。
新しい試みとの出会いは、今ある現実に小穴を開け、風通しをよくしてくれる気がします。
そんな訳で、初心者でも十分楽しめました。オシャレな冊子まで頂いて、なんだか得した気分です。
10月28日まで開催されてるので、お時間のある方はぜひどうぞ!
 
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【KYOTO EXPERIMENT 2012】Billy Cowie(ビリー・カウィー)『Tango de Soledad / The Revery Alone / In the Flesh』



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