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しむらの色(細見美術館)

投稿:2013年4月 4日

 先日、細見美術館に行ってきた。
 
志村ふくみ、洋子の作品展(しむらの色)。
母上の小野豊さんから手ほどきを受けたふくみさん、そして長女の洋子さん、三代に渡って紡いできた染織の道。

chakotako2013-4 (3).jpg志村ふくみ「不二」

ふくみさんの作品は古今東西の歴史や神話・思想・文学からインスパイアされている。
洋子さんは、ゲーテやシュタイナーの色彩論や社会問題への関心も深いようだ。

chakotako2013-4 (1).jpg 志村洋子「壽壽」 2012

ふくみさんの米寿の為に織られた「壽壽」。
ヨハネの黙示録に、(苦よもぎ)という星が落ち、多くの人々が亡くなった話がある。
ウクライナ語で「苦よもぎ」をチェルノブイリというのだそうだ。そのあたりは苦よもぎが群生し、黒い草原と呼ばれる。洋子さんは、この草を染めた糸で母に米寿の為の着物を織った。
光と 影・善と悪・真と虚は同じ存在であるという意味を込めたという。

自然界の命を色に染め織る作業は、日々の研究と研鑽を要する。
その結晶が工芸だと思う。
お二人は、その上に深い精神性を投影している。
それが工芸に留まらない芸術へと昇華させているのだろう。

chakotako2013-4 (4).jpg志村ふくみ「小裂帖」「貼交 風炉先屏風」

chakotako2013-4 (5).jpg志村ふくみ 「かるた」

端布をつなぎ合わせた着物や言葉(詩)と布の屏風、かるた。

chakotako2013-4 (2).jpg 志村洋子「マチスの部屋」 2012

マチスからのインスピレーションを受けた着物の楽しさ。

chakotako2013-4 (6).jpg柄澤齋(絵)志村洋子(裂)「スフィンクス」

柄澤齋氏の版画・絵と洋子さんのコラボレーション。
小野豊さんの表紙絵にふくみさんの書。

着物だけに留まらない多彩な作品は、現代社会へのメッセージのようである。
自然や生き物を脅かすことへの――
 

志村ふくみ 志村洋子 作品展「しむらの色 KYOTO」



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