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河井寛次郎記念館

投稿:2010年12月 7日

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河井寛次郎は「明治生まれの陶芸家」ということは大変有名です。
しかし、彼は陶芸のほかにも彫刻やデザインなどにも造詣が深い人物でもありました。
民芸運動にも身をいそしみ、日常雑記や日用品などの民衆工芸品の中に美を見出し、これを世に広く紹介することに尽力していました。
そんな河井の信念が詰まっている場所。それが、河井寛次郎記念館です。

河井寛次郎記念館は五条通から南に少し入った場所にあり、清水寺や智積院、三十三間堂などの歴史的施設に囲まれたところに所在しています。
記念館の周辺には陶芸関係の店舗が軒を連ねていて、実際にこの地に本人が住んでいたというだけあり、陶芸に大変ゆかりのある土地のようです。住宅も多く建ち並ぶ場所ではありますが、それゆえに、この記念館が民家の中でうまく溶け込めているのではないでしょうか。

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記念館に一歩足を踏み入れると、河合本人が作ったオブジェがお出迎えしてくれました。
受付を済ませると看板猫のシマちゃんを発見しました。日向ぼっこをしていたようです。おとなしい猫みたいで、見ているだけでもすごく癒されます。

奥に進むと、昔ながらの水道が。
寛次郎が実際に毎日ここで顔を洗ったり、歯を磨いたりしていたのだろうか、と思いを巡らせました。

また、帯留やそろばん、真鍮煙管、本、陶器など河井が愛用していた品々が展示されています。陶器は彼の本業でもあったためか、比較的数が多く、実用的なものから装飾的なものまで様々です。

さらに、彼が使っていた「窯」も必見です。

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■ 『素焼窯』

乾燥された粘土の状態の段階の作品は、この窯に入れられ600℃~700℃で8時間前後、松割木で焼かれ、素焼きの状態になるそうです。

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■ 『登り窯』

登り窯は昔築かれていたものを、寛次郎が譲り受けたもの。
素焼された作品に薬品をかけ、この窯の中で1350℃程度の火度で焼かれました。
寛次郎の作品の多くは、この窯の前から2番目の室から生み出されたそうです。

さらに2階には、河井の婿養子である河井博次の作品が陳列されてあります。

先にも述べましたが、寛次郎はデザインや書、彫刻などの分野でも優れた作品を残しました。特に、寛次郎が書いた掛け軸に注目です。何か心に響いてくるものがあると思います。

河井寛次郎はこの場所で、陶器だけではなく沢山の作品を生み出しました。
寛次郎の作品にはどことなく温もりが感じられ、日常の中に美を見出そうとした彼の精神がひしと伝わってきました。

河井寛次郎記念館は受付で許可を得れば、写真撮影が可能です。
是非、カメラを持って寛次郎の軌跡を辿ってみてください。


文責:ひるやま 編集:京都で遊ぼうART



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