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京都市立芸術大学作品展2018|中里楓のアーティスティック探訪 135

投稿:2018年2月19日

京都市立芸術大学作品展
KYOTO CITY UNIVERSITY OF ARTS ANNUAL EXHIBITION 2017
2018.2.7 wed -11 sun

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京都の2月・・・
それは、なぜか京都盆地をぐるっと囲むような位置に点在する芸術大学の、卒業・作品展の季節です。わくわくする一か月が始まります。
そのトップバッターは、名門京都市立芸術大学。
初めて訪れた学内にはヤングアーティストたちの作品があふれていました。
その中から、ボクが目を見張った作品を幾つかご紹介します。

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おミカンさま 
高瀬栞菜 Kanna Takase 油画 4回生 油彩

この学生の中にある高瀬ワールドとはどのようなもの?
作品展をあれこれ見ていると、たまにこのような灰汁の強い、
理解に苦しむ、凡人では想像のつかない、それでいて引きこまれる絵に出合います。
わずか数分の間に見た夢のいくつかを描いたもの?

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冬木 
山崎星香 Fuka Yamazaki 紙本着色 日本画3回生

この国の山々の森々とした深さをよく描いています。

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The flow of time
高山真緒 Mao Takayama 紙本着色 日本画4回生

ボクの絵の好みで言えば、ビルや街並みはあまり気になるモチーフではありません。だけど時々その殻をぶち破ってくれる作品に出合うことがあります。
それがこの絵。
高速道路沿いのベッドタウンの黄昏時でしょうか。人が一日の時間の移り変わりを一番感じる時。それが淡々とした色合いで描かれています。
ひとはひとりとして描かれていないのに、

(あぁ・・・もうすぐ日が暮れる・・・)

という一抹の淋しさも感じさせます。
刻々と暮れない色に染まりゆく空気の粒。

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transparent
高瀬葵 たかせあおい 紙本着色 日本画修士1回生

「透明な」という意味を持つタイトルのこの作品は、まず初めに一体何が描かれているの?という疑問を持たせ、その疑問を解こうとしてじっと絵を見つめさせるという装置になっています。その疑問が、鑑賞者各々の中で様々に説かれていくという行程が、惹きつける魅力につながっていると思います。

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東京国立博物館蔵 伝雪舟等楊 「四季花鳥図屏風」模写
森萌衣 Mei Mori 紙本着色

まさに、息を呑む精緻さ。
オリジナルを知っている鑑賞者の目をもうならせるその筆さばき。

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奈良国立博物館蔵 「信貴山縁起絵巻山崎長者巻」部分模写 
齋藤邦彦 日本画修士1回生

平安時代の人々の躍動感あふれる様を、生き生きと描いています。
八百年の時を越えても、ボクらを笑わせてくれます。
 
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東京国立博物館蔵 「草虫図」模写 
溝上陽子 紙本着色 日本画修士1回生

半透明の白い花びらに見惚れて・・・だけでなく、

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目玉蜻蛉の視線はどこへ?

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紫の花に舞う蝶々、

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根本に這う蝸牛、ほのぼの四季を感じます。

模写・・・それはオリジナルへの尊敬心を持ち、くまなく研究し、素材も当時のものに近いものをおそらく探し当てて使い、何よりも己の画力が秀でていなければ完成を見ない範疇群。

このような模写の前に佇む数分間は、ボクの至福の時です。

 



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