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Balthus バルテュス展 京都市美術館 |中里楓のアーティスティック探訪 80

投稿:2014年9月25日

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“God has loved his talent?”

バルテュス…この名もまた、アーティスティック探訪を始めていなければ、きっと知ることのなかったことでしょう。

京都市美術館
「20世紀最後の巨匠」再び、京都へ。
Balthus バルテュス展
2014年7月5日(土)-9月7日(日)

会場に入るとすぐに、バルテュスのアトリエが原寸大で再現されていました。
それはスイスの小さな村ロシニエールにある木造のグラン・シャレという建物の中にあるものです。ただ単に、作品のみを鑑賞する展覧会が多いなか、画家の活動場所・アトリエを見、その空気感を感じることができて、ちょっと得した気分です。

第1章 初期

6 聖木の礼拝 (ピエロ・デッラ・フランチェスカ〈聖十字架伝〉にもとづく) 1926年
キリスト教にまつわる一枚で、信心深さを感じることができます。

第2章 バルテュスの神秘


26 眠る少女 1943年

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(ポストカードから)

モデルはジャネット・アンドリーという少女。
なんとなく、日本のとある女優さんに似ているような…

27 美しい日々 1944-1946年

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(美術館の入り口横の立看板の写真から)

モデルはオディル・ビュニョン。
手鏡を見るその姿勢は、左足を立て、右足をまっすぐ床に伸ばし、右手をだらりと垂らすという、どこにも類を見ない独特のポーズ。
その少女の表情も、ボクらにはそう簡単に理解できない魅惑を漂わせているようです。

29 猫と少女 1945年

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(ポストカードから)

少女には不可侵の魅力。
少女の未完の体は、神の領域…
画家・バルテュスはその才能によってそれを表現したのです、紙一重のきわどさで。

37 地中海の猫 1949年

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(ポストカードから)

テーブルに座る猫人はバルテュスの化身。
虹が魚に変身するという、奇想天外な一枚の絵です。


第3章 シャシー 田舎の日々

39 横顔のコレット 1954年

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(ポストカードから)

石工の娘・コレット。
光と影。
青いセーターが鮮やかに。

46 樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭) 1960年

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(ポストカードから)

秋から冬にかけてのとある一日でしょうか、
葉の落ちた樹は空に広く枝を伸ばし、
その向こうには畑の広がるのどかな田園風景、
田舎の小屋も立ち並び。


第4章 ローマとロシニエール

49 朱色の机と日本の女 1967-1976年

この日本の女のモデルは節子夫人。
体の前面をはだけて床を這うような姿勢は、バルテュス独特のものでしょう。

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バルテュスの色 泥絵の具
Blu Oltremare Puro
ピュアなウルトラマリンブルー
ラピスラズリと同じ合成ウルトラマリンでできています。

絵の具単体でこの鮮やかな色。これだけでも見惚れてしまいます。
会場の売店で購入しました。

初めて見たバルテュスの多くの作品たち。
まだまだボクの中では、十分に消化しきれていません。
20世紀という時代、色使い、少女というモチーフ、猫…
様々な要素を絡めながら、画家”バルテュス”を、時間をかけて考えてみようと思います。

 



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