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人々のやりとり 仕草・視線・表情

17世紀のオランダは大変経済的に発展し、市民の生活レベルも豊かになっていました。王権も他の国に比べて強くなかったこともあり、市民たちが画家の主な顧客となって絵を家に飾るようになりました。そのため描かれる絵にも現実的なものを好む市民の好みが反映されるようになり、日常生活を題材にした「風俗画」が多く描かれました。

「風俗画」を描くにあたり、画家たちは、当時の典型的な人物、流行の衣装、そして場面設定に鋭い洞察を向けました。
ここに展示されている作品に描かれている場面は家庭だったり、居酒屋だったり、仕事場だったりと様々ですが、どれも当時の人々の日常的な風景です。
しかしごく普通の場面の裏には「人はこうあるべき」「こういうことをしてはならない」といった、教訓めいたメッセージが含まれています。
作品を見る当時の人々は、その意味を解釈しながら、登場人物のしぐさや表情から伝わる絵画の中の会話や物語、情景を楽しんでいたのでしょう。

当時の人々の暮らしに思いをはせつつ、絵の中の会話を人々の様子から想像してみましょう。

コルネリス=ベーハ 『酒場の情景』

酒場で給仕の若い女性を口説こうとする老人が描かれています。酒場は風俗画ではよく用いられた場面ですが、当時のオランダでは「表は酒場、裏に回れば売春宿」といわれ、両者はあまり区別がなく、そんな意味も含めて描かれることも多かったようです。「年がいもなく若い女性に手を出すのは恥ずかしいことだ」そんな戒めの意味も込められた題材ですが、画家は妙に教育めいた感じはさせずに、庶民の日常のひとこまとして丁寧に描いています。

フェルメールからのラブレター展

家族の絆、家族の空間

オランダ絵画では、よく家族の姿も好んで描かれました。和やかで愛情にあふれた家庭の様子は、見る人を安らげる意味と同時に、理想の家庭像を示す意味もありました。
また、見る人に自分の家族を紹介したり、「こんなに素敵な家族なんですよ」と示す意味もあり、よく結婚何周年の記念などで画家を家に呼び、描かせることもあったそうです。
いつの世でも、人々は素敵な家庭を望むもの。当時の家の様子にも目を向けながら、その暮らしをのぞいて見ましょう。

ヤン・デ・ブライ 『アブラハム・カストレインとその妻マルハレータ・ファン・バンケン』

仲良く手をつなぐ、幸せそうな夫婦の肖像画。
奥さんは穏やかで愛情あふれる眼差しでご主人を見つめ、ご主人はにこやかにこちらに語りかけてきています。この絵を見ただけで、どんなに幸せで仲の良い夫婦なのか、すぐに伝わってきます。
背景には積み重なった本や地球儀が見えますが、これはモデルのご夫婦の職業を教えてくれるヒント。ご主人は出版社を経営していて、当時ヨーロッパで最も情報網が広い新聞を出版していました。
世界に海外特派員を多く派遣していたほどだそうで、地球儀はそのネットワークを示唆しているのかもしれません。

フェルメールからのラブレター展

学術的コミュニケーション

当時のオランダにおけるインテリ層やエリートとされていたのは、最先端の知識を持つ学者、法律の専門家である弁護士、そして商売のプロである公証人でした。当時の絵画には、しばしばモデルとして彼らの姿が描かれています。彼らは仕事において積極的にコミュニケーションをを取り合いました。商売や経営では人と会話ができなければ仕事ができませんし、学者たちは同僚や教師とコミュニケーションをとることで研究をより発展させていったのです。
いわば、コミュニケーションのプロたち。そんな彼らの仕事ぶりを味わって見てください。

コルネリス・デ・マン『薬剤師イスプラント氏の肖像』

考えをメモにまとめている最中に、不意に声をかけられて視線を向けた青年博士の姿。
肖像画ともいえますが、部屋の様子は家具や机の小物などはとても丁寧に描かれ、まるで風俗画のよう。この絵の作者のデ・マンは、モデルの暮らしぶりや人となり、職業も描き出すためにしばしばこのような描き方をしたのだそうです。実に様々なものが机に置かれていますが、これは博士が色々なことに広く関心を持つ人であることを示しています。
机には頭蓋骨が転がっていますが、これは学者の絵にはしばしば登場するモチーフ。「人生には限りがあるから、できる限りのことを生きているうちに十分しなさい」というメッセージが込められているそうです。

ちなみに、博士が着ているこのローブはインテリ・エリート層に好まれた「ヤポンス・ロック」という一種のステータス・シンボル。元々は、オランダに伝わった日本の冬用の着物だったとか!

フェルメールからのラブレター展

手紙を通したコミュニケーション

17世紀のオランダはヨーロッパで最も識字率が高く、一般庶民も積極的に手紙のやり取りをしていました。
今ではメールや電話など、遠くにいる人とのコミュニケーションツールは色々ありますが、当時は手紙が唯一の連絡手段。出しても必ず届くとは限らず、しかも大変時間がかかるものでしたから、当時の人にとって手紙はとても大切な存在だったのです。また、手紙を書くことそのものが「芸術的表現」としても捉えられていたそうです。
特にオランダの風俗画では、手紙と女性が組み合わされて描かれることが多く、その多くは「愛」と関わる内容です。遠くにいる恋人や家族を思い、一心に筆を取る姿、届いた手紙に一喜一憂するその表情に、ぜひ注目して見てください。

フェルメール3点の『手紙と女』

今回出品されたフェルメールの作品三点は、一番最後に展示されています。
そのどれもが、同じ「手紙」をモチーフに使っていますが、場面はそれぞれ異なっています。
「手紙を書く女」は初々しい少女が手紙を書こうとする姿。
「手紙を読む青衣の女」は恋人からでしょうか、届いた手紙に熱心に読みふける大人の女性(よく見ると口が開いているのですが、これは声に出して手紙を読んでいることを示します。当時は音読がよく行われていたとか)
そして「手紙を書く女と召使い」は、床に捨てられた手紙らしいものが転がり、女性が一心に紙にペンを走らせています。
それぞれの絵に流れるそれぞれの物語をどのようにフェルメールは描き、どんなヒントを残しているのかが、作品の見所のひとつです。

フェルメールからのラブレター展

ミュージアムショップにもご注目

もちろんミュージアムショップも充実!
定番のクリアファイルやポストカードのほか、額縁のようなデザインがお洒落なしおりやマグネットなどが揃っています。
また、今回は「オランダ絵画」ということで、オランダらしいグッズも登場!
オランダではお馴染みのお菓子、ワッフルが詰まった限定BOXは、フェルメールの故郷・デルフトの名産品「デルフト焼」の陶器をモチーフにしたケース入りです。
他にも、思わず手紙が書きたくなってしまいそうな羽ペン、17世紀当時の人々も使用していた「封蝋(ふうろう/シーリングワックス」も。
展覧会の後は、久々に手書きの手紙を大切な人に送ってみるのはいかがでしょうか?

フェルメールからのラブレター展



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