没後400年 特別展覧会 「長谷川等伯」

開催期間 2010/4/10〜2010/5/9

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注目の展覧会

長谷川等伯物語【中期】
いざ、狩野派の牙城へ。絵筆一本の戦い

京都で一花咲かすことを夢見、上京した等伯。
しかし、京都での等伯の様子は、50代に入る頃まで殆ど分かっていません。

狩野派の牙城へ

当時京都の画壇は狩野派という一つの絵師グループの牙城となっていました。代々御用絵師として働いてきた狩野派は、言わば都会で専門教育を受けたエリート。そして、当時の長はかの有名な狩野永徳。皇室だけでなく、織田信長や豊臣秀吉からも信の厚い彼に率いられた狩野派は、まさに全盛期を迎えていました。即ち、狩野派に属さない人間が、人々に名を広く知られるような、城や御所での大仕事を得ることは非常に困難な状況だったのです。
地方から出てきた等伯にとって永徳はまさに間逆の存在。しかし、この余りに巨大な壁に対し、等伯は怯むどころか強烈なライバル意識を持ちます
絶対に、奴らを越えてやる - 天下一の絵師の座を目指した、等伯の戦いが始まります

『花鳥図屏風(かちょうずびょうぶ)』長谷川等伯(信春)
六曲一双・16世紀

世紀の新発見!

展覧会前の作品調査によって、等伯の作品であると新たに判明した作品。優美な松や藤の花、滝の流れ、鳥の姿が優美に描かれていますが、その描写などから等伯がまだ「信春」と名乗っていた40歳前後の作品とみられています。余り彼に関する記録のない時代に、既に金碧画の制作実績があったことが分かる非常に重要な作品です。

千利休との出会い

等伯にとって幸運だったのは、彼の周りには彼を支えてくれる理解者の存在があったことでした。本法寺の第十世(住職)で、等伯と生涯にわたって交流を深めた日通上人が堺の出身であったこともあり、等伯は盛んに堺の商人たちと交流を持ちます。当時商業都市として大いに栄えていた堺には裕福で文化に理解のある商人達が数多くいました。その中の一人が、茶道の大成者である千利休だったのです。
1589年、利休は等伯の力を見込んで、ある依頼をします。
それは、京都の名刹・大徳寺に利休が寄進する「金毛閣」の天井と柱の装飾画を描かせることでした。
大徳寺という絵師にとっての大きな桧舞台で、狩野派を押しのけて一介の絵師が絵を描いた。- このことは紛れもなく、京都に「長谷川等伯」という名が知れ渡る第一歩となったことでしょう。

大徳寺

京都市北区・紫野にある臨済宗の大寺院。創建は鎌倉末期。あの”一休さん”こと一休宗純が住職を勤めたこともあります。

大仙院の枯山水の庭などが特に有名。武家に縁も深く、多くの有名武将の家の菩提寺も境内にあります。千利休が寄進し等伯が天井や柱の絵を描いたという三門「金毛閣」は、後に利休が秀吉の怒りを買い、切腹の原因になった場所でもあります。

一世一代の大博打『山水図襖』

同じ年、等伯はこの大徳寺でもうひとつの絵『山水図襖(さんすいずふすま)』を描いています。この襖絵は大徳寺の塔頭のひとつ、三玄院の襖に描かれたものですが、これには等伯の意気込みをうかがわせる物語が伝えられています。

等伯はかねてから三玄院の住職春屋宗園に襖絵を描きたいと願っていました。しかし住職は「ここは修行の場だから絵はいらない」と取り付く島も無し。それでも諦め切れない等伯は、ある日住職が留守の間に院を訪ね、何と勝手に上がりこんでそのまま襖に絵を描きだしてしまったのです。他の僧侶達が思わぬ事態に慌てふためく中、等伯は一気に絵を完成させてしまいました。その後帰ってきた住職は当然激怒。しかし、彼は等伯が残していった絵の素晴らしい出来栄えに関心したのか、結局そのままこの絵を院に残したのでした。

一歩間違えればその後の等伯も無かったかもしれない、まさに一世一代の大博打。等伯の決して諦めない、その性格と気合が伝わってきます。この行動が吉と出たことで、その後等伯は南禅寺や妙心寺といった大寺院での大仕事の機会を得るようになっていきました。

重要文化財『山水図襖』
天正17年(1589)京都・高台寺圓徳院蔵

等伯が京都の画壇に地盤を築き始めたころの作品。水墨で樹木の描写やしっとりとした空気の描写には、あの代表作・国宝『松林図屏風』にも通じるものが感じられます。雲母刷り胡粉桐文様の唐紙と本当に襖用で絵を描くには向かない紙に描かれているところ、エピソードの信憑性を高めています。

【POINT】
この絵は雪景色を描いたもので、等伯は水分を弾いて浮かび上がる桐紋を、降りしきる雪に見立てていたと考えられます。等伯の見立てのセンスも感じられる作品と言えるでしょう。(因みに現在は三玄院ではなく、高台寺圓徳院と樂美術館に分けて所蔵されています)

展示作品と共に辿る、長谷川等伯物語。



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