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京都発の本格アートフェア「ART KYOTO 2012」!
「アートフェア京都」が開催されてきたホテルモントレ会場に加え、新たに国際会議場(国立京都国際会館)も加わり大規模な国際的アートフェアとして行われることになりました。

その見所やねらいは?そして楽しみ方は?どこが前と変ったの?
というわけで、ここでは企画に携わった方に直接インタビューをさせて頂きました。

今回は「ART KYOTO 2012」の前身である「アートフェア京都」(2010、2011)の発起人である石橋圭吾さん(ART KYOTO 2012実行委員/neutron)にお話を伺いました。

「美術立国」のこころ――
国のアイデンティティである美術・文化は国内の認知がなければ成り立たない。

──ART KYOTO 2012のコンセプトについて、まずお話頂けますでしょうか。
これまでの「アートフェア京都」との違いもあれば教えていただきたいと思います。

これまでは国内の中で「京都」を際立たせるということが根底にありました。
過去二回のホテルでの「アートフェア京都」は僕が主催者代表として開催してきましたが、その際にも掲げていたのが「京都に次世代のアートの市場を開拓する」という考えです。

2年前に最初にアートフェアを京都で開催しよう、となったときは、やってほしい、と思っている人はいるんだけれど果たして本当に京都で開催できるのか?といった、半信半疑の意見も多かった。まだまだアートフェアというものの下地がない状態でした。

でもふたを開けてみると、観光がてら訪れて頂いた方も含めて、本当にたくさんの方が来場してくださいました。2回目はフロアも倍に増え、売り上げも同様に伸びました。
現在では「京都でのアートフェア」というものは認知も大分広まり、開催する上でのベースは確実にできたと思っています。
日本では東京、海外でもあちこちで国際アートフェアが開催されていますが、それをいよいよ京都でもできる、という確証を得た感じですね。

実行委員会としては、今回はもっと広い視野をもったイベントにしていきたいと思っています。

今までは国内の作品を海外へ持っていく、ということに重きが置かれている傾向がありました。もちろんそれも大事です。でも持ち出してばかりでは日本の中でのアート市場、文化の裾野というものは育たない。 外に出て行くばかりでは国内需要も増えませんし、ニーズがなければ市場にもなりません。市場がなければ作品は売れませんから、結局ギャラリーは日本ではなく海外へと市場を求めていってしまう。するとますます、国内で作品と人が触れる機会も減ってしまい、アートは根付かない。悪循環ですね。
現代アートの市場がない、ということはそれだけ、現代アートが人や文化に浸透していないということでもあります。
今の日本でその状況にある現在進行形のアートというものをどれだけ文化として根付かせていくか。
どれだけ自分たちが市場を広げ、がんばってやっていけるのか。それが重要だと思っています。

また、海外で作品が評価されて、それが逆輸入される形で日本でも評価される、ということがあります。それももちろんすばらしいことですが、何も海外で評価されることが一番大切というわけではありません。ヨーロッパにはヨーロッパ、アメリカにはアメリカの文化や美術、育まれてきた価値観がある。日本にも日本独自の文化や美術、価値観があり、それだからこそ評価されるもの、生まれるものがあると思います。それをわざわざ他人の土俵にもって行って、他人に評価してもらえないと駄目なのか?というとそれは違いますよね。
そうではなくて、日本国内で生まれた作品を、日本の価値観で評価する。日本だからこそその作品が引き立つ、そういうフィールドを作る。そしてその作品を求めて、海外から人が集まってくる。そのくらいでなければ世界とは戦っていけませんし、国も成り立たないと思うんです。

今回、ART KYOTO2012のパンフレットなどには「美術立国」と掲げましたが、これはまさにその精神を言い表したものです。美術を通じて日本という国を立てる。それを、まず昔から文化を生み発信してきた歴史のある京都という都市からやる。このイベントにはそんな意味をこめています。

■会場があるその場所だけではなく、”町ぐるみ”のアートフェアを開催したい。

──イベントのコンセプトも大きく広がったのですね。
今回は会場もホテル会場だけではなく国際会議場や関連イベント会場も加わりとても大きな規模となりましたが、こちらについては。

「アートフェア京都」は、開催を重ねるにつれ参加ギャラリーも増え、来場者も増え、大きく成長しました。一回目が30数軒のギャラリーで行ったのが、二回目は60を超えた。来場者も3,500人に達しました。しかし、その分、規模がホテルではどうしても足りなくなってきてしまっていたんですよね。
ホテル会場は、元々一度に多くの人が同じフロアや部屋に入ることを想定したつくりになっていません。また、入り口の大きさの関係で、搬入できる作品の大きさにも制限がありました。
そこで、ホテル会場にも距離が近く、移動も楽な場所、ということで井村さん(imura art gallery代表) が提案された国立京都国際会館でもアートフェアを開催することになりました。

また、今までのホテル会場はイベント自体は開催しやすいのですが、結局ホテルの建物内だけでイベントが完結してしまうところがあったんですよね。
そうではなくて、もっと広く、京都の町全体を使った、町ぐるみのアートの祭典を開催したいと思っていました。
海外のアートフェアでは、地元のギャラリーを回るツアーがあって、メイン会場以外のところで開催されている展示を見に行くことがよく行われています。そんな状況を作りたいんです。

そうした考えに基づき、今回の「ART KYOTO 2012」は関連イベントを併催することを前提に考えています。
どんなに大きな会場を使っても、2会場だけでは弱い。メインとなる場所だけではなく、烏丸線の沿線のあちこちで同時にイベントを行うことによって、人も移動しますし、町全体を会場にすることができる。そこでもたらされる波及効果が重要なんです。

今回予定している関連イベントとして、映像上映企画の「MOVING 2012」は前回から一緒に開催されていましたし、「ANTEROOM PROJECT」(ホテルアンテルーム)は僕から名和さん(名和晃平/SANDWICH主宰)に お願いしています。藤井大丸では学生によるフリーペーパー編集団体「SHAKE ART!」に企画担当をしてもらっています。
ギャラリー@KCUA(京都市立芸術大学のサテライト)やウルトラファクトリー(京都造形芸術大学)のイベントは、井村さんからお声かけをして頂きました。
そしてギリギリになって決まりましたが、市内各地でのオープンアトリエのプログラム「KYOTO OPEN STUDIO 2012」の開催が決定し、大きな山が完成した実感を得ています。

国内外から京都のイベントが好きで、京都の町に期待している人がこんなに集まってくれている。

──今回は京都だけでなく国内外から、本当に多様なギャラリーが参加されている感じを受けました。

今回は国立京都国際会館に40、ホテルモントレに60のギャラリーが参加します。100件ものギャラリーから現代美術を中心に集まるのは、国内ではこの「ART KYOTO」だけです。
また、ここだけしか見られないようなギャラリーもたくさん参加しています。京都の地元ギャラリーはもちろん、大阪や東京、愛知、北海道や金沢からも参加しているギャラリーがあります。京都や関西に住んでいて、そうした各地のギャラリーの作品を見る機会はなかなかないでしょう?どんなものが出てくるか、とても楽しみにしています。

海外からの参加はもっぱら韓国からの出展ですが、現地では以前から国際的アートフェアを開催している経験もありますし、実行委員会としてパイプもあったので、お声かけをしました。
今回は特に「DAEGU ART FAIR」(テグ)の関係 から10件、他にもソウルやプサンなどからも来てもらっています。
日本国内でも都市によって傾向が違いますから、海外ではもちろん雰囲気が違う作品が出てきます。ぜひ見比べてみて頂きたいですね。

土地によって作品の雰囲気や傾向も違ってくるそうですし、作品の写真を見るだけでも本当に多彩ですよね。遠くへ、海外旅行してもなかなかギャラリーを訪ねる、ということはそうないので、とても貴重な機会だなぁと思います。

ただ、まだまだ本当のインターナショナル、といえる規模ではありません。円高や昨年の震災などさまざまな要因があるのでしょうが、日本には海外のギャラリーはなかなかやってくることが少ないのが現状です。これが、先ほどもいいましたが、向こうから日本へどんどん来てもらえるようになること。そんな土壌を作ること、それが世界と日本が戦っていくために、大切になってくると思います。

今回登場する作品には、有名な作家のものもあれば、まだ無名の新鋭の作品もあります。
ギャラリーも、老舗もあれば最近できたばかりのところもある。
でも参加しているギャラリーは皆、私たちの考え、アートフェアに込めた姿勢に共感して参加して下さっています。
京都でのイベントを楽しみに、京都の町に期待している人が集まってくれているんです。

今まで準備はしてきましたが、どんな作品が集まるか、どれだけ人が来てくれるかは未知数です。ふたを開けてみないことには。そもそも初めてアートフェアを開催した時も大丈夫かなんて周りからも言われましたし、自分でもわかりませんでした。でも、そのわからなさ、未知の部分があるから面白いんですよね。
アートという文化自体も常に前衛、今までなかったことを切り拓いて成長していくものですから。

今回はとにかく「たくさんの人にアートフェアを見に来て欲しい」と思っています。

──「アートフェア京都」では、入場料の分がそのまま作品購入時に代金の一部として換算してもらえる「デポジット制」がありました。とてもユニークな試みだったと思います。今回は設定されていませんが、その理由をお伺いできますでしょうか。

デポジット制はそれまでのアートフェアにはない試みとして、とても好評を頂いていました。
どんなに賑わっても、やはり作品が売れなければギャラリーはやっていけない、ということもありますし、「買う気がある人向け」ということで、ハードル上げの意味もあったんですよね。学生イベントっぽくなってしまわないように、というか。
結果的にも、かなり売れ行きもよかったですし、ホテル型のアートフェアとしては国内ではダントツの好成績だったと思っています。

でもデポジット制は会場ひとつでまとまった状態で行うなら良いのですが、規模が大きくなるととても管理や作業が大変になります。また、国際会館での展示はより本格的なアートフェアになり単価も高くなることを考えると、デポジット制には向かないと考えました。
そして今回は、とにかく数多くの人に、会場があふれるくらいたくさんの人に来て欲しい、と思っています。
その意味もあって今回はデポジット制ではなく、二会場共通・三日間通しで1,500円と入場料を下げるという形にしました。
1日あたりの料金に換算すると美術館の展覧会に比べてもずっと手ごろになっていますし、関連イベントもたくさんありますから、ぜひ多くの方に参加してもらいたいですね。

作品の価値は、自分で判断して欲しい。アートは自分自身で価値に見合うかを決めていい。自分を信じて、自分のワガママで決めてしまっていいんです。

──今後のART KYOTO の展開についてはどのようにお考えですか。

一度ここまで大きく風呂敷を広げたので、今後は毎年開催ではなくても、何年かに一度の頻度で開催するようにしていきたいと思っています。
その方が準備もじっくり行うことができますし、規模を大きくしていくこともできますから。あまり頻繁にやるとどうしてもマンネリが出てきてしまったり、出展数を集められないことがありますし、ある程度スパンがあったほうが、よりわくわくする内容を考えて、イベントを行うことができると思います。

──こちらの記事をお読みになっている方に、最後にメッセージを御願いします。

アートフェアは、ある種アートの「合コン」のようなところがあると思います。
いろいろな人に会ってそこから気の合う人を見つけて仲良くなるのと同じように、いろいろな作品を見て、そこから自分の好みに合うものを見つけていくんです。

とにかく、どこであれ足を踏み入れてほしい。
どの作品がいいか、何が悪いか、ということはありません。有名な作家だからいいとか、値段が高いからいいではないのです。作品の価値は、自分で判断して欲しい。アートは自分自身で価値に見合うかを決めていい。自分を信じて、自分のワガママで決めてしまっていいんです。
そしてそれは実物を見なければ始まりません。ぜひ会場で作品を見て、考えてみてください。もしかしたら自分が今まで思ってもみなかったところに興味を惹かれて、新しい自分を見つけることがあるかもしれませんよ。

自分の中に眠っている新しいセンスにも出会える場所、になるかもしれませんね。
早くどんな作品が出てくるか見てみたいです!
本日はありがとうございました!

【Profile】

石橋圭吾(いしばし・けいご)
東京生まれ。有限会社ニュートロン代表取締役・gallery neutron主宰。
アートフェア京都(2010、2011)実行委員会代表。ART KYOTO 2012実行委員。
大学進学を機に京都に移り住み、写真やデザイン関係職勤務を経て2001年7月にギャラリー&カフェ「ニュートロン」をオープン。2005年に烏丸三条に完全移転し、京都を代表するアートスペースとして親しまれる。
2009年には東京・南青山にもギャラリー「neutron tokyo」をオープンした。
2011年5月にそれまでのギャラリー&カフェ店舗を閉店し、7月から「FACTORY」を丹波口に新設し新たな活動を開始。次代を担うアーティストを一貫してプロデュースし、京都を拠点に広く現代アートを紹介すべく精力的に活動を行っている。

neutron についてはこちら

詳細・お問い合わせ

ART KYOTO 2012 実行委員会
公式ホームページ: http://www.artkyoto.jp/MAIL:info@artkyoto.jp



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