京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

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メディアアート作家 ウィル・ホール

メディアアート/ )

April 25 Sat, 2015

ウィルさん.jpg

「KYOTO NEW WAVE」第35回目は京都市立芸術大学美術研究科博士(後期)課程メディアアートを卒業したウィル・ホールさんにインタビューさせて頂きました。


取材/川久保美桜、槌橋澪、外林あやめ 写真/外林 テキスト/川久保 編集/国司

 

 

 

 

イギリスがご出身とのことですが、日本に来られるまではどのようなことをやっていたのですか。

スコットランドの芸術大学で絵画を専攻していました。伝統的な大学で絵画の技法などを学んでいたんですけど、僕も含め色々なことをやっている人が多かったです。その頃はメディアアートじゃなくてミクストメディアで立体的な作品を作っていました。あとインスタレーションをやっていましたね。卒業制作では会場の床のペンキを彫って作品にしました。その頃も見た目が面白いという理由で、視覚や目の錯覚について興味があったんですが、まだ具体的には分からなかった。

 

 

そのときは京都でしたか。

いえ、九州の鹿児島でした。そこで3年間仕事をしていたのですが、結構暇だったので友達とギャラリーを作ったり美術活動も行なっていました。その後、研究生として鹿児島大学に入ったんです。そこで2年間美術史を研究していました。浮世絵など日本の伝統的なものや、日本とイギリスの美術教育の違いについて研究していました。

 

それから京都へ?

来たのは5年前です。鹿児島大学では自分の作品が作れていなかったので、美術大学に入りたかったんです。それで友達に京都と東京を紹介されたんです。両方試験を受けたのですが、東京は駄目だった(笑)。ただ最初は絵画に入りたくて申し込みをしたのですが、先生達に絵画じゃないと言われたんです。なのでコンセプチュアルな制作をする京都芸大の大学院の造形構想に入りました。 

 

では今のコンセプトが固まったのは大学院に入られてからですか。

そうですね、1年目は色々な事をやっていたのですが、2年のときに立体視のステレオスコープを作りました。作ってみてからどうやって物を見ているかについてすごく興味が出てきました。その時からずっと視覚と知覚について研究をしています。 

 

「Gassenhauer 2014」は目を閉じて体験する作品ですね。

これは正面にウェブカメラがあって、顔を認識して目を閉じるとライトがバアーと出てきて音楽も流れ出す装置になっています。この作品で面白いのは、普通アートをみるときは目を開けるけれど、この作品では目を閉じる事でみる、体験する。逆になっていて冗談としても面白いなと思いました。

 

「Gassenhauer」.jpgのサムネール画像

Gassenhauer / 2014

 

 

 

 

 

「HeartVise」は視覚だけではなく脈なども用いられていましたね。

そうです、二人が心拍センサーを指に入れて、同時に心拍数、脈を採って、二人の心拍数を平均化して、それが映像のハートをコントロールしています。そのタイミングでライトが光って、自分の顔と相手の顔が交互に見えます。この時は周りの環境と自分の身体的なものについて調べていました。この自分の心拍数の認識や意識を知覚として考えています。 もともと最初は視覚だけ研究していて、立体視と視野闘争を調べていたんですけど、それだけじゃなくて聴覚など様々な感覚が全て繋がっていると思うようになりました。最初は視覚も聴覚も区別されていると思っていたんですが、全部自然に繋がっていると思うようになりました。

 

「HeartVise」.pngのサムネール画像

HeartVise / 2014

 

 

作品上で難しい事はありますか。

僕の作品は体験しないと分からないんですよ。だからどう見せればいいか分からない。 あともう一つは美術か医学か分からないところです。例えばギャラリーで展示すると見るのは美術関係の人だけですよね。知覚の事を知っているのは美術の人では少ないんです。見た目が面白ければそれ以上に興味を持ってもらえないんです。 あとやっぱりサイエンスとしては意味が無いんですよね。僕の作品で得られたデータは使えないんです。だからどこまで美術か科学かなのかが難しいです。 

 

京都で好きな場所はありますか。

自然が好きなので三条鴨川が好きです。京都は自然が多くて自転車で走ってもすぐ田舎に行けるところが好きです。あと千本鳥居の2つの分かれ道を作品に用いたので伏見稲荷も好きです。  

 

IMG_9768.JPG

 

今後お仕事はどうされますか。

大学の先生になりたいですね。色々応募をしてみてるんですがなかなか難しい。今は京芸で週に一回英語を教えています。それは単なる英語ではなくて、海外にレジデンス活動に行く人向けの実践的なものです。嵯峨美でも教えていて4月からは立命館でも教えています。 あと展覧会をもっともっとやりたいです。京都で一回だけやりましたけど。これから大阪とか東京とかしたいですね。 

 

 

 


 

知覚をテーマに様々な挑戦を続けるウィルさん。自由で面白い発想を突き詰めるスタイルが印象的でした。今後は日本でどう展開していくのか楽しみです。

 

 

 

 

 

S__72523778.jpgのサムネール画像

Artist Profile

ウィル・ホール - Will Hall -

 

2004 グラスゴー芸術大学芸術学部絵画学科 卒業
2010 鹿児島大学教育学部美術科 (研究生) 卒業
2012 京都市立芸術大学美術研究科修士課程絵画専攻造形構想 卒業
2015 京都市立芸術大学美術研究科博士(後期)課程メディアアート 卒業
2003 バルセロナ大学(スペイン)(エラスムス留学制度4ヶ月)
 
[個人展]
2014 Will Hall: Dissoception アンテナギャラリー 京都
[グループ展]
2004 BraveArt Standard Life sponsored “The Best of Emerging Talent from                 Scottish Art and DesignColleges” ロンドン UK
2005 Will Hall and Billy Teasdale Transmission Galleryグラスゴ ー UK
2010 The Revelers thought the flames were a part of the show Sho ギャラリ           ー 京都 
2010 Shijo  高島屋デパート 京都 
2011 留学生展  京都アートセンター 京都
2012 京都市立芸術大学作品展 京都市立美術館 京都
2012 Colors of KCUA @KCUAギャラリー 京都
2013 博士展 @KCUAギャラリー 京都 

 


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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