京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

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学生日本画家 鬼頭 祈

日本画/ )

July 30 Tue, 2013

 

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『KYOTO NEW WAVE』 第24回目は京都造形芸術大学4回生の鬼頭祈さんにインタビューさせて頂きました。


取材/佐賀遥菜、松岡里奈 写真/松岡 テキスト/佐賀 編集/松岡

 

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YUKAI Engineering × 丸若屋 × Inori Kito × Hatsune Miku / 2012

 

現在どのような活動をされていますか。

大学で日本画の勉強をしつつ、依頼をいただいてイラストを描いたり、デザインをしたりしています。今年の春には東京のAtamatote2-3-3と、京都のBlackbird Whitebirdで、はじめての個展を開きました。

 

絵を描く上でいちばん大切にしていることは何ですか。

今はAdobeのソフトやアプリとかで、誰でもそれっぽいものが作れちゃう時代なので、だからこそしっかり自分の手で描くことを大事にしたいなと考えています。日本画は墨の線一発勝負で、command+zで戻る事ができない世界なので、緊張感のある線がおのずと生まれてきます。ネットカルチャーやクラブカルチャーから生まれるグラフィックみたいな、刹那的な作品もすごくかっこよくて昔から好きなのですが、そういうものってだいたいがすぐ消費されて消えてしまう。そういったオルタナな要素のある作品をいかに何十年後にも残すか、となるとやっぱりそこには強い芯が必要かなと思います。芯の強い作品を作る為にも、普遍的な「良さ」を見極める力だったり、手で描く力は常に磨いていたいです。日本画を通してそういった芯の部分の力をつけて、いろんな表現に応用していきたいと思っています。あと、徹底的に自然のモノを観察して写生する、というのも大事にしています。動物や虫、植物、魚とかを見ていると、造形も完璧だし、センスも抜群だし、自分の中から生まれてくるものなんて、たかが知れてるな、と思わされます。動物は、スキがなくて、緊張感があって美しいです。役者のようにに背筋がのびていて、モデルみたいに華やかでおしゃれ。いつでも敵と戦えるように戦闘態勢で、生きることに精一杯だからでしょうか。動物のようにほどよく緊張感をもっていれば、人間もきっと美しい状態でいられるのだと思います。私が河童や小人に惹かれるのも、両者とも人間の姿をしてるにも関わらず、半分動物に近く、自然に寄り添った存在であるからだろうな と思います。河童のように生きたいものです。

 


植物やフルーツと寄り添う小人の作品は、どのような気持ちで描かれましたか。

描いているときはあまり意味は考えていなかったのですが、小人をじぶんに重ねて、自然のものへの畏怖と畏敬みたいなものを無意識にあらわしていたのかもしれません。もやもやとしてた時期、心をリセットするために思い切って大学を1年間休学したことがあって。その1年間は、カンボジアに一人旅をしたり、毎日山の中をさんぽしたり、庭いじりをしたり、時間をかけて料理をしたり、という事をフラフラしていたんですけど、その1年を経て、やはり自然に寄り添った人間らしい生活っていいな、としみじみ思ったんです。 休学をしてたその1年間は、渡航費とか以外にはお金をあまり使わなかったのに、すごく豊かな日々で。つまらないモノを買ったりしなくても、自然がそばにあれば気持ちが豊かになれるし、紙と鉛筆があれば絵を描けるし、ギターとインターネットがあれば1日遊べるし。 豊かさってなんだろう、みたいなことを考えるのもおもしろいです。

 

 

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pomegranate / 2010

 

 

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pither plant  / 2010
 

 

漢詩の作品について教えてください。

『ナリワイをつくる』という本の著者、伊藤洋志さんにご依頼を頂いて描いた作品です。帰園田居という、中国四世紀に書かれた漢詩をモチーフにしています。都会の役人だった主人公が、大きい組織で働くのがだるくなって田舎に帰り、自給自足の仕事をして生活を送る、というお話です。今でいうノマドとか起業的なノリかもしれません。古典を読んでると、人間ってどの時代も変わらないんだな、 としみじみ思います。

     


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帰園田居 / 2013

 

静岡から京都に移ったそうですが、故郷になにか影響は受けていますか。

静岡の地元は、山に囲まれた自然がとても豊かなところでした。虫と鳥の鳴き声と、風の音しか聞こえないような所。まるで「日本むかしばなし」のような。夜は星がすごく綺麗で、山の香りがして。日本画においては、自然物や四季を描くことも大事な要素なので、日本画という選択ができたのはそんな環境で育ったおかげもあるなと思います。あと、両親が音楽の仕事をしていたので、実家にレコードがたくさんあったり、良い本や映画を見せてもらったりしたことも大きいかもしれません。特に、 プログレ系やサイケ系のレコードの、不条理でドープで壮大な世界観にはすごく影響を受けて、レコードを流しながら、しょっちゅう眺めていました。レコードのジャケットみたいに、わかりやすいインパクトのあるイメージが好きで、グラフィックデザインや映像とかにも関心があったのですが、ちょっとひねくれてたので、まっすぐそちらに行く事をせずに、あえて日本画を選びました。環境音楽や、ミニマルミュージックも、「間」の感覚だったりが日本画に通じるところがあったりして、音楽と絵は私にとって切り離せない存在だなと思います。

 

今後の目標を教えてください。

まだまだ本当に未熟なので、20代のうちは修行期間としていろいろなものを吸収しながら、あせらず粛々と作って行きたいです。日本画を軸にしつつ、出力の媒体も柔軟に変えていきたいので、なるべく異業種の、同じ志を持った方々とチームを組んでいけたら楽しそうだなと思っています。世界の為に、日本の為に、そして周りにいる好きな人、モノ、事の為に、私にできる事はなんだろう、という事をずっと問い続けていきたいです。



 

 


 

鬼頭さんの絵は、私たちが当たり前の日々を過ごしている中で忘れがちなことを思い出させてくれる 気がします。今後の活躍が楽しみです。

 


 

 

プロフィール_鬼頭.jpg

Artist Profile

鬼頭 祈 - Inori Kito -

1991年静岡生まれ、京都在住。京都造形芸術大学 日本画専攻在学中。

主な展覧会に、個展『しあわせな逢魔が時』 京都(Blackbird Whitebird)東京(Atamatote2-3-3)など。

好きなものは、河童とギター。

http://inorikito.tumblr.com/

 

About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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