京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生版画作家 平田彩乃

版画/ )

May 31 Fri, 2013

 


平田さん写真-01.png

 

『KYOTO NEW WAVE』 第22回目は京都市立芸術大学大学院修士課程1回生の平田彩乃さんにインタビューさせて頂きました。


取材/野口咲綾、松岡里奈、北川まりな 写真/野口 テキスト/野口、井口美穂 編集/北牧加代乃

 

しんしん 2012.jpg

しんしん / 2012

 

平田さんにとって木版の魅力とは何でしょう?

私が木版を選んだのは、自分で全ての作業をする工程が好きだからです。全て自分で彫らなきゃいけないし、ここに生まれる表現全てが、自分が残した痕跡っていうのが、版種の中で一番強い感じがして選びました。また自分の作品のコンセプトに合っていたというのが大きな理由です。

 

shinshin 01.png

[shinshin]♯01 / 2012

 
shinshin 02.png
 
[shinshin]♯02 / 2012
 
 

スタイルを確立したきっかけはありますか?

1回生の木版の授業で、黄→青と摺ったときにかぶった部分がきれいな緑色になったことがきっかけだと思います。 水性絵具で摺る木版なので、先に摺った色と反応して紙面上で混色します。摺るごとに紙面上でかぶった部分の色が反応し、イメージが出来上がります。しんしんと降り積もるように紙面上に絵具が着く様子が、降る雪や雨が新たな景色を生み出すことと似ているように思いました。一つの版を一つの時間と見立て、それらの版を摺り重ねることで、イメージをつくっています。だから、自分の中ではこのスタイルがまだしっかりと確立しているとは思っていないんです。版画でやっているから、意味があるのであって、これがイラストで描かれたらまた違うものになってしまいますし、コンセプトが自分の中では消えてしまいます。今は雪の表現に捕われずに制作は続けていきたいと思っています。

 

 

cape 2012.jpg

cape / 2012
 
 

影響を受けた作家さんはいらっしゃいますか?

写真家の植田正治さんです。植田さんの写真は本当にシンプルで、結構前の写真なのに今見ても全然古びてないところも凄いですし、写真に向かう精神も凄い方なのに控えめで、「僕はアマチュア写真家だから、写真を撮るんじゃなくて写真をすることがすごく楽しいんだ」とおっしゃっていて、そういう姿勢もかっこいいなと思いますし、人を人として撮るんじゃなくて、モチーフとして構成させる所が上手くてそういう所にも惹かれます。

 
 
 
車窓より 2011.jpg

車窓より / 2011

 

車窓より 2011.jpg

車窓より / 2011

 

制作の上で工夫していることはありますか?

人の処理です。風景の中に人がきちんとなじむように、分離しないように、心がけています。私の描く作品は雪が降っている風景のような漠然とした風景が多いので、その風景の大きさを表すものさしとなるのが人物です。だから人を、風景の中に収められるように気をつけています。

 
 
湖の踊り子 2013.jpg
 
湖の踊り子 / 2013
 
 

平田さんの作品のタイトルは簡潔なものが多いですね。

タイトル付けるのが一番苦手ですね。だから、その時のことを一言で表現したようなタイトルをつけています。”湖の踊り子”は友達と琵琶湖のスケート行ったらリンクが割れていて、私はめっちゃ危ないやんって思ったのですが、みんな普通に滑っていて、私はスケートあまり得意じゃないんで「へぇー」って上から見てました。危ないのになって。スケートリンクが割れて危ないのに踊り子のようにみんなスケートして、 近くに琵琶湖があって、これが琵琶湖でも踊り子みたいに滑ってるのかな…と。かなり私的な想いが強いので、鑑賞者がそれをどういう風にとってくれてもいいと思っています。

 

 

薄氷 2012.jpg

薄氷 / 2012

 

 

卒業制作展の作品は雪の作品が中心でしたが、それは何故でしょう?

最初はモヤのような「空気」を表現していましたが、私の制作方法は何度も彫り重ねて紙の中で絵の具を混ぜるというものですので、より簡潔な表現を求めて雨のモチーフになって、試行錯誤する内に雪の表現へと辿りつきました。雪には大粒もあれば細かいものもあるので、目に見えた物質の方が表現しやすいなと思ったんです。 主題とする風景のモチーフは、自分の旅行先や日常の中にある場所が多いです。また、地元の愛知県が雪の降らない場所だったので憧れもあります。でも一番の理由は、私にとって強烈な思い出が、雪の日に多かったんです。電車は動いているんだけど、雪でなかなか動かなくて学校に行けなかったり、遠くに行って雪で帰れなくなったり。雪の日が印象深かったことがきっかけになっているのだと思います。

 

 

日日2012.jpg

日日 / 2012

 

 

今まで一番苦労したことを教えてください。

ひとつのことが終わるとわりとすぐに行き詰まってしまうのですが、でも自分ではそれがあまり苦労していると思わなくて、それが逆に楽しいです。むしろ高校生の時の方が苦労しました。美術高校時代は周りのみんなが上手くてあまり集中できなかったのですが、版画というやりたいことを見つけてからは、すごく集中できるようになって。描けないこととか、好きなことをやっているけど苦しいこともあるけど、その頃に比べたら別に、描けないことも出来ないことも苦しくない感じがします。

 

 

美大を卒業後、京都市立芸術大学院へ進学したのはなぜですか?

京都のアートの、学生も大人もごちゃまぜになっているところと、美大が多くて刺激し合える環境が好きで、京都には居たかったんです。木版なのでそんなに設備もいらないし、でも先生の話は聞きたいなと思って大学院進学を決めました。京芸の設備は前の大学ほどではないですが、面白い先生がたくさんいらっしゃるところに魅力を感じました。また、2年間学んだあと社会に出て活動を続けるためにも、設備の整った大学院では卒業後に備えた準備が出来ないような気がして。それだったら違う環境に出て準備をしつつ、制作した方がいいかなと思いました。

 
 

古今 2012.jpg

古今  / 2012
 
 

今後の目標は何ですか?

湖の踊り子だと、版を六版位使っていて、その木の版を一回ずつじゃなくて何回も何回も刷っています。でも、紙の吸水性、耐水性を考えると、あんまり刷りすぎると紙に定着しなくなって、色が落ちやすくなるんです。もうちょっとそういう部分では技術を上げて、刷らなくても表現できるようにしたいと思っています。それを解決しつつ、天気で時間の移り変わりみたいな物を表現していきたいです。

 

 


 

平田さんの作品はとてもシンプルで落ち着きがあるのに関わらず、とても強烈に印象に残ります。 それは、彼女自身が体験した天気の変化、それを想起させようとして描かれた想いが描かれているからでしょうか。これからも、彼女が作り出す、気候と自分の想い出をリンクさせた作品を楽しみにしています。

 


 

 

プロフィール写真.jpg

Artist Profile

平田 彩乃 - Ayano Hirata -

 

1989 愛知県生まれ
2009 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース入学
2013 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業

展覧会
2013 第7回大学版画展受賞者展/文房堂ギャラリー(東京)、東北芸術工科大学(山形)
     卒業作品選抜展/ギャラリーフロール(京都)
     KINO PRINT 2013/Gallery Artislong(京都)
     関西八芸術大学版画ポートフォリオ展/石田大成社文化ホール(京都)
2012 手技に学ぶ 京都の伝統産業実習展/京都市美術館別館(京都)
    Zillah/gallery take two(京都)
    京展2012/京都市美術館(京都)
    第37回大学版画展/町田市立国際版画美術館(東京)
2011 キタキタ展/cafe&gallery nifty(京都)
    企画展「s_mART」/京都国際ホテル、京都マルイ、ギャラリーKURA(SHiPS)(京都)

受賞
2012 第11回南島原セミナリヨ版画展 毎日新聞社賞
    京展2012 須田賞
    第37回大学版画展 町田市立国際版画美術館収蔵賞
 

About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



  • 京都で遊ぼう総合TOP
  • 京都で遊ぼうART
  • 京都で遊ぼうMUSIC
  • 京都で遊ぼうSTAY
  • 京都の銭湯
  • 京遊本舗