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京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生グラフィックデザイナー 綱田 康平

グラフィック/ )

March 02 Sat, 2013

 

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『KYOTO NEW WAVE』 第20回目は京都市立芸術大学大学院修士課程2回生の綱田康平さんにインタビューさせて頂きました。


取材/小川智美、谷口由里子、原野萌 写真/小川 テキスト/小川、原野 編集/原野、北牧加代乃

 

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the town and me / 2012

 

現在どのような活動をされていますか?

今は、京都市立芸術大学の修士課程でイラストレーションを研究しています。さまざまな素材の特性を活かしたイラストの研究と、その制作を中心に活動しています。

 

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drawings / 2013

 
 
 
 

卒業制作についてお聞かせ下さい。

修了制作は、これまでの僕の、シャープペンシルを使った細密画の集大成として5枚の作品を作りました。画材としてあまり活かされることのないシャープペンシルという身近な画材をつきつめていくと、面白いテクスチャーができあがっていく。その面白さに惹かれてずっと作ってきて、その特性が技術的にもだいぶ使いこなせるようになったので、誰も見たことがないようなシャープペンシルで描いた作品を今回の展示でお見せすることができたらと思っていました。 僕は退屈な時にはずっと落書きをしていました。つまらない授業を聞いてるときにシャープペンシルでつい落書きをして遊ぶことって誰でもありますよね。僕はノートの隅に描いていた落書きを経て今の作風にたどりつきました。なのでそれを深めてひとつの絵画にまで発展させていくことは自分たち世代のある種のリアリティなんじゃないかと制作を続けてきました。有名な美術評論家の山下裕二さんが、明治初期ぐらいまでの画家を『筆ネイティブ』と呼んでいます。日常に使っていた筆の延長線上に絵があって、『ネイティブ』に筆を使いこなしている。だからうまい、っていうことなんですよね。なら僕たちは何ネイティブなのかっていったら、『ペンネイティブ』だと。『筆ネイティブ』が生み出し得なかったような表現をそこから作れないかと思ってやってきた、その現時点での集大成でもあります。 それと、僕自身がすごく叙情的な表現に昔から惹かれているところがあって、そういった理由から敬愛している明治から昭和初期ぐらいの日本の画家、古賀春江さんや松本竣介さんのような作家へのオマージュというのも修了制作では取り入れています。

 

 

昭和初期の印刷物興味を持ったきっかけはなんですか?

まず単純に自分の親の趣味の影響があって。母親は 『コレおしゃれやなぁ』って言いながらビンテージ感のあるパッケージとか包装紙をマメに取っておくような人で、小さい頃の僕はよく分からないけどこれがお洒落というものなのかって思ってました。 あとは僕の生まれ育った町、福岡県の北九州市と、隣接する下関辺りが僕のホームグラウンドなのですが、そのあたりの地域では関門海峡が海上交通の要所で、そこから福岡の炭鉱で採れた石炭を全国に輸送していたので、明治初期から昭和くらいにかけて栄えていきました。でも高度経済成長期に主要エネルギーが石炭から石油に変わる中で一気に廃れていってしまったんですが、そういう歴史があるので、僕が収集している印刷物と同じ時代の空気を感じさせるような遺産が町の中に溢れてるんですよね。あの時代の文化財が自分の中の郷土の風景と密接にリンクする。特に近代の昭和初期の画家に惹かれる理由も僕の郷土の風景にあるんじゃないかな、と思っています。

 
 
 
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farm / 2012

 

 

特に印象に残っている活動はありますか?

学部4回生のときの個展です。僕は北九州出身で、広島大学の教育学部美術研究科にいました。3回生のゼミ分けで僕は絵画のゼミに行きたかったのですが落ちてしまい、芸術学のゼミに入りました。でも芸術学ゼミは卒業制作がなくて、卒業論文を書くんです。そのことでめちゃくちゃ悔しい思いをしました。だから誰よりもいい論文をあげて、さらに誰よりもいい展覧会を最後にやってやるという反骨心で、学部3回くらいから一生懸命画策して、個展を学部4回生の3月に開催しました。それを通じて学生の枠を超え、プロのデザイナーの方をはじめとした様々な人たちとコミュニケーションが取れたことがやっぱりすごく印象に残っていますね。

 
 
 

広島大学から京都市立芸術大学の大学院に進学されていますが、京都の大学院への進学を選ばれた理由は何ですか?

画塾に行っていた時はデザイン科に行きたかったんです。高校生の時点ではデザイナーってどんな仕事とかもよく分からないけど、なんとなくその響きのかっこよさに惹かれていたんです。けれど画塾の先生と考えが合わなかったりして一度デザインが嫌になり、それで教師になろうと思い広島大学の教育学部に入りました。入学してからもずっと芸術学ゼミなどでたくさん本を読んだりして勉強していくうちに、自分の中で曖昧だったデザイナーやイラストレーターといった仕事の実像が明確になってきた。そして、教育実習などをする中で、自分は人に何かを教えるということより、自分で何かものをつくって社会にアプローチをかけていく方が楽しいと気づきました。そこで、以前からイラストに興味があったのでイラストレーターとして仕事をしようかとに悩んでたときに広島大学の教授が京芸のデザイン科出身の方でお話を聞き、京芸の院に進学することに決めました。

 

 

 

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peace / 2010

 

 

今の制作スタイルはいつ頃から確立されましたか。

シャーペンで言えば大学3回生の前期くらいの一番授業が個人的につまらなかった頃です(笑)。そういう時期に、最初はノートやプリントの端に描いていたのですがもっと大きい絵にしていきたい願望が出てきてコピー用紙一枚使って描いて、それがケント紙に水張りして描くような感じに次第に発展していきました。 最近も制作しているシャーペンの細密画や学祭のファッションショーでのドローイングとか、今ではあまりやらなくなったのですが切り絵とか紙版画とかもやっていて、そういうアイディアが3回生の前期位から爆発的に生まれてきました。ゼミ分けで落ちたことで視野が広くなりいろんな作品が生まれるきっかけになりました。いい意味で絵画という常識にとらわれなくなったと思います。 それ以前はでっかい100号くらいのキャンパスになんかいいの描いてやろうというような意識があったのですが、そういう気持ちにとらわれないで自分はデザイナーになる、イラストレーターになるみたいな感じで考えをシフトしていった時に、例えば日頃のらくがきとかにもある意味しっかりと目が向いていく様になりました。絵画というジャンルではなかなか活かすことが難しそうな作風や自分の感性などにも目が向いていって、むしろ自分が得意とするのはそっちの方なんじゃないかという風に思考が変わっていきました。

 

 

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シャボン玉 / 2010

 

 

絵を描くようになった経緯を教えてください。

基本的に自分のリアルな制作っていうのは落書きだったんです。今でも常に得用の安いコピー用紙を机の上に置いてあるんですよ。それで、特に制作が進まない時とか、何もいいアイデアが浮かばない時とかにがむしゃらに描いたりするんです。その落書きが直接作品に結びつくことはあまりないのですが、インスピレーションを受けて、新しい作風が生まれてくることはあります。その一つとしてシャープペンシルのシリーズがあったり、色鉛筆のドローイングがあったり。だから僕の中で落書きっていうのは、自分の制作の中で非常に重要なファクターであると思っています。

 

 

ドローイング.jpg

ドローイング
 
 
 
 
 

今後の活動についてお聞かせください。

僕は今までイラストを中心に活動して来ましたが、最終的にはアートディレクターのようなポジションにつくことができたらいいなと思っています。 高校生の頃はデザイナーを目指すことに違和感がありました。今のデザイン業界って分業化が進んでいて、デザイナーとイラストレーターがそれぞれ職業として独立していますよね。そんな時代に自分はデザイナーになりたいのかイラストレーターになりたいのか、どっちなんだろうという迷いがあったのだろうと思うんです。 また、今はデジタル技術が進歩していて、専門学校で2年位勉強すればそれなりのデザインが作れちゃう。しかしそういう時代だからこそ、「手技を使えるデザイナー」が新鮮に見えるんじゃないかと思うんです。だから、手も動かせてアイデアも出せちゃうといった、なんでも出来るデザイナーを目指しています。

 

 


 

綱田さんはさまざまな手段で制作を行ってこられましたが、どの作品からも手作業のあたたかみと、なつかしさが感じられます。 自身の目指すデザインについて、熱く語って下さった綱田さん、今後の活躍が楽しみです。

 


 

 

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Artist Profile

綱田 康平 - Kouhei Tsunada -

 

1988年生まれ
2011 広島大学教育学部造形芸術系コース卒業
現在 京都市立芸術大学美術研究科(修士)デザイン専攻 ビジュアルデザイン研究室 2回生
 
2008-2011 ザ・チョイス最終選考3回(159回・176回・177回)
2012 ホルべイン画材株式会社CROQUIS MEMOコンペティション優秀賞
2013 京都市立芸術大学作品展 奨励賞
 
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About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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