京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生日本画家 内藤 亜衣

日本画/ )

December 27 Thu, 2012

 

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『KYOTO NEW WAVE』 第18回目は京都市立芸術大学3回生の内藤亜衣さんにインタビューさせて頂きました。


取材/野口 咲綾、中澤 春香 写真/中澤 テキスト/野口 編集/北牧 加代乃

 

「それは夢もしくは幻覚で」2012.9.JPGのサムネール画像

それは夢もしくは幻覚で / 2012 . 9

 

現在どのような活動をされていますか?

2年の冬と3年の夏にグループ展を2回と、今秋の学祭での展示が、今までのささやかな作家活動です。12月12日から18日にかけて、阪急梅田9階「ART STAGE」で行われたアートチャリティー企画に参加しました。今後の活動は、3月初旬から始まる「いどうえほんかん」という手作り絵本と原画の、東京、福岡、京都を1週間ごとに巡るグループ展の企画と出展を行うことが決まっています。京都では3月8日から13日に、id Galleryで開催します。40~50名の展示予定で、絵本が作りたい作家さんを、随時募集しています。

 

 

 

「KURU KURU」展示風景.JPG

『 KURU KURU 』展示風景

 
 
 
 

アートチャリティー企画KURUKURUに参加したきっかけは何ですか?

今年の学祭で私が参加したグループ展「日本画三回五人展」での展示作品を、モーフィングの方に気に入っていただき声をかけていただきました。最近、新装開店したばかりの阪急梅田という大きな会場に作品をおけるなんて、夢のある話だなと思ったのがきっかけです。クリスマス間近で、大切な人に作品をプレゼントしようと呼びかける企画もあたたかくていいですね。また、チャリティー企画として販売価格の半額が寄付されるので、作品が、他の誰かの喜びにつながるというのも嬉しいです。

 

 

進学先で京都市芸大の日本画専攻を選んだ理由は何ですか?

まず京都の大学に行きたくて、関西圏の国公立で芸術だけでなく勉強等、色んなことに目を向けられるという思いから京都市芸大を選びました。高校のときは油画をずっとやっていましたが、市芸といえば日本画、と思って日本画を専攻しました。日本画はにかわを混ぜたら色が変わり、絵の具の混ぜ方で雰囲気が変わってしまうので、少しずつ描かなければいけないところが今までやってきた油画の塗り方とは違いますね。

 

 

今までで特に印象に残っている活動はなんですか?

今秋の学祭の展示です。その時は黒板のレールの上に作品を並べるという荒業をしたのですが、その時に、私の作品はこういう風に何気なく置かれたいんだなと妙にしっくりきました。ホワイトキューブやアートフェアに力強く躍り出るわけではなく、歴史を変えるなんてことはなく、たった1人にでも心から気に入ってもらえて、その人の日常生活にそっと寄り添っていられる、そんな作品が作りたいんだと気付きました。あと阪急梅田での展示です。私は今まで絵をプレゼントしたことはあっても、買ってもらったことがありませんでした。しかし、KURUKURUの初日に羊の大きな絵を、お買い上げいただいて、誰かの手元に大切なお金を出してまでプレゼントしたいと思っていただいたことが嬉しかったです。

 
 
 
 

「ふわふわ」2011.10.JPG

ふわふわ / 2011 . 10

 

 

 

制作するときの大切にしていることは何ですか?

絵の具が絵の具として見えなくなることです。生命力のようなものが宿ることを目標にしています。同時に、日本画絵の具じゃなきゃ描けない絵というものも大切にしています。私は高校の時に、油絵の具中心で絵を描いて、透明水彩やアクリルも試してきましたが、描き方、感覚がどれも同じに感じました。もちろん質感や筆の乗り方や乾き方、混ざり方が違うのは分かっていましたが、せっかく気に入った日本画絵の具(岩絵具)の味や特性を、好みの方法で表したいと考え始めて、現在の、ぼやぼやしていたり、少しロマンチックな画面が生まれました。麻紙は分厚くて、その上繊維が剥がれやすいので、結構乱暴に布で拭ったり洗ったりしています。まだまだわからないことだらけですが、衝動的な行為も無作為な行為も生きてくるので楽しいです。

 
 
 
 

「青への憧憬」2011.8.jpg

青への憧憬/ 2011 . 8

 

 

 

「庭アトリエ酒場」にて制作風景.jpg

「庭アトリエ酒場」にて制作風景 

 

 

 

作品のモチーフはどのように選ばれていますか?

昨年の夏休みに「庭アトリエ酒場」という日本画の先輩たちの企画で、学校にある先生の作品の小屋の側で野外制作をしました。お昼から日が陰って色がわからなくなるまで蚊に刺されながら、蝉の鳴き声や葉の擦れる音、草木の匂いや汗臭さ、自然が近くなったような気がしながらのびのびと描きました。その時描いた青を基調としたくじらの絵が、色んな人にいいねって言っていただけて、自分でも大好きです。それを超える作品は残念ながらまだ生まれていません。また、この頃から動物をモチーフにしてきたように思います。 そしてちょっと幻想的で動物が微笑んだり穏やかだったりするのは、動物に人間的な感情の比喩をさせているのでしょうか。人だと、髪の毛やら女性、男性、容姿、色んな他の要素ばかり気になったりするのが嫌なのかもしれません。動物だったら一歩引いた目で見られるし、私が感情を込めた表情なんて気にせず「あー羊さんかわいいー」と思って気に入ってもらえるだけでも嬉しいなと思うのもあります。

 
 
 
 

「花によりそう」2012.7.JPG

花によりそう / 2012 , 7

 

 

 

制作の上で影響を受けたものはありますか?

分からないです。絵を好きになったきっかけは、小学生の頃父に連れていってもらった東山魁夷展で、「白馬の森」に出会いです。その時、「絵が生きている」と作品の魅力引き込まれ、絵の力に対面しました。しかし、この展示以降西洋絵画中心に作品を見て、大学に入って現代作家の絵も見るようになり、好きな作家は沢山増えましたが、明確に影響を受けているという感覚はありません。ただ絵を描くという行為は、日常生活の何もかもから影響を受けていると思います。 私は絵を描く人間としては相当自分に自信がないままでいますが、絵を描くことが好きで高校時代からひたすら絵を描くことだけを考えていたこともありました。しかし、その頃は作品という意識はなく、ただ好きな行為として捉えていました。大学に入ってからは「さあ今から表現者になりましょう」という考え方に戸惑ってしまいました。現代アートの本を読み漁りましたが、色んなことに頭がぐちゃぐちゃになってしまって、しばらく絵が描けなったこともありました。「個性って何?描きたいものって何だ?」と悩んでいたときに「ああ私は空っぽなんだ」とショックを受けてしまいました。しかし、悩みを吹っ切ってからは「あらゆるものを吸収してやろう」という気持ちになりました。色んなジャンルの本を読み、それまであまり見てこなかった映画をひたすら見たり、4ヶ国の海外旅行をして遠い土地で過去の偉大な芸術に触れたり、ドライブで日本の素敵な景色を見に行ってみました。感動して心が揺れる度、もう私は空っぽだとは思わなくなりました。それが明確に作品に現れているかは謎ですが、本当に良いものは良いんだから無駄に悩まなくていいんだ、と振り切れて作品に向かえるようになったことは大きな進歩かもしれません。

 

今後の目標を教えてください。

まだまだ未熟者なので、地道に良い作品を目指して絵を描くことです。ずっと自信のないまま作家人生を諦めようと逃げてばかりでしたが、ちゃんと向き合いたいなと思います。そしていつかカフェや、センスの溢れる素敵な空間に私の絵を飾ってもらうのが作家としての目標です。そして卒業後は就職をして、今まで培ってきた芸術へのこだわりを、社会貢献しながら更に向上させ人を大切にしながら「本当に良いもの」を社会に溢れさせるために生きてみたいと思います。 

 

 

 


 

「作品に生命力が宿ることを目標にしている」と話してくれた内藤さん。一筆一筆色に迷いながら描かれたという動物の作品は、まるで人間のように優しい笑みを浮かべており、その幻想的な世界観に引き込まれました。地道に良い作品を目指して絵を描きたいと意気込む内藤さんの今後のご活躍がとても楽しみです。

 


 

 

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Artist Profile

内藤 亜衣 - Ai Naito-

1991 兵庫県に生まれる
2007 兵庫県立明石高校美術科にて油画を専攻
2010 京都市立芸術大学美術科にて日本画を専攻 在学中


活動歴
2011.3 グループ展「PRINSESS OF CHAASY」 (大阪/ART HOUSE)

2012.9 グループ展「FLOWER OF CHAASY」 (京都/id Gallely)
2012.11 日本画三回五人展   (京都/学内展)
2012.12 アートチャリティー「KURU KURU」展  (大阪/阪急梅田百貨店)

2013.3 グループ展「いどうえほんかん」 (京都/id Gallely)

 


web: http://naitoooai.blog.fc2.com/
twitter:@n_ai_to

 


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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