京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生画家 酒井遥

油絵/ )

June 29 Fri, 2012

sakai.png

『 K Y O T O  N E W  W A V E 』 第 13 回目は京都市立芸術大学に在籍し 、油絵を 学んでいる学生画家の酒井遥さんにインタビューさせていただきました。


取材/佐々木梨乃、小川智美 写真/佐々木 テキスト/小川、西尾   編集/後藤あゆみ

IMG_0442.JPG

松まろ /2012

現在どのような活動をされていますか?

基本的に毎日学校で油絵を制作しています。私は、発表の機会をとても大切にしていて、いつもそれに向けて目標を立てて制作に取り組んでいます。特に最近は立て続けに発表の場がありました。2月の京都市美術館での作品展に始まり、3月に祇園のBarでの展示、5月に個展、6月にグループ展をしました。

最近の個展とグループ展について教えてください。

私にとって展覧会はひとつの区切りです。展覧会ごとに自分の中でテーマを決めて、 それに向かって制作した作品を一つの空間に飾って、眺めて、それでそこからまた新しいことをしよう、今度はこういうアプローチで展示しよう、と考えるんです。いつもその繰り返しでモチベーションを保っています。展覧会ごとにそれぞれのテーマを決めますが、大きくは「楽園(パラダイス)」というひとつのをテーマをもとに、その中で”公園”や”プール”といったシリーズを展開します。この前の個展は ”Oval”(楕円)というタイトルの展覧会だったのですが、「楽園」のシリーズの集大成として発表しました。そして、グループ展では”石”のシリーズを発表しています。私は、もともと石や銅像、置物や公園のオブジェなどに凄く興味がありました。ずっとその場に長く留まっているものって、そのものからエネルギーや時間を感じさせたりするじゃないですか。それってすごく魅力的だなと思っていて、ずっとそのものが止まって置かれてきた世界とか、そのものが見てきた世界を描いたり、ということを最近は始めています。

特に印象に残っている活動はなんですか?

私は油画を専攻して普段油絵を描いていますが、もっと幅広い活動がしていきたいといつも考えています。作品を通してもっと色んな人と直接関わったり、自分が絵を描くことで人に直接的に影響を及ぼせたらなあと思っています。去年、私の地元である高槻市からバス丸1台をキャンバスにライブペイントしないか?というお話がありました。駅前で描くことでいつもとは違う場所で多くの人に見てもらえるということ、そのプロジェクトを通して街の人と直接関われるのではないかと思い、すぐ参加を決めました。バスは2ヶ月間高槻市内を走りまわるのですが、本当言うともっと長い期間走ってほしかったですね(笑)。でも、いろんな所でバスを見た人から「良かったよー」とか声かけてもらえたりして、本当にたくさんの人からの反響を感じられたので、すごく良い経験になりました。バスって動き回るものなので、自分の絵が移動していくのって凄く不思議な感じです。「もっと何か出来へんかなー!」ってその時から考えるようになりました。人と関わることが大好きなので、そういうことができたバスのプロジェクトは特に印象に残っていますね。

IMG_0453.JPG

庭ランド/ 2012

 

制作するときの心構えや大切にしていることは何ですか?

絵を描くときは、心が何かに動かされたときなので、そのときの感情を大切にしています。油絵ってじっくり時間をかけて層を重ねて描いていく人が多いのですが、私は描きたいと思った瞬間に、かなり早いスピードで描いていきます。だいたい大きい作品は約2週間、小作品なら4日くらいで完成させます。自分の感情が高まったときのその感覚をそのまま絵に描き留めたいので、長い時間の中で自分の感情に整理をつけたり、格好つけたりしないようにしています。スピードを保って描くことで、そのときの感情に絶対に嘘をつけないようにしているんです。現実世界での私は、嘘つきで、人の目を気にしたり、よく自分を取り繕ったりするので、だからこそ、絵の中では絶対に嘘をつきたくないんです。最近は作品が自分の映しみたいで、それを大事に感じているのですが、実際それは良いようにも悪いようにも働いています。とても自分勝手なものなので、ごくわずかな人の共感は得られるけど、客観性も意識していくことが今後の課題になってくるのかなとも思っています。でも、誰もがそうだとしか思えないものは描きたくなくて、それはやっぱり見る人に自分で考えて欲しいと思うからです。同じ作品を見ても人によって全然違って見えていることが多くて、それを聞くのが面白いのです。むーっちゃピンクな絵で可愛い印象の作品なのに、見る人によってはすごく怖いと言う人もいて、、そういう隠しているものが「バレた」ときはドキッとします。私は怖いものでもあえて明るい色を使ったり、ポップで楽しくなる色彩を使ったりして自分の怖いものを彩っています。そうすることで、自分の中の問題は解決されていくし、描いてるものと見えてくるものにギャップがある作品を創っていきたいと思っています。

 

今の制作スタイルはいつ頃から確立しましたか?

今、制作しているパラダイスシリーズは3回生の前期くらいからから描き始めました。実は、小さい時から、人に善く思われたいがために自分を取り繕っている部分があって、それが作品にも表れていました。そのことに気付いた時すごく嫌悪感を抱き、格好つけた絵を描くのは楽だけど、それは本当の自分ではない。それから、自分を表現するのが怖くなって絵を描けなくなる時期がありました。美しいかどうかとか人からどう見られてるのか、という事ばかり気にしていました。ある時、その考えを一度捨てて、本当に自分がやりたいことは何なのか、描きたいものは何なのかを考えました。その時から、無意識に楽園のようなものを描くようになりました。私には、誰にも知られたくない自分だけの世界があって、きれいな世界に見えるけど何か闇がある自分のいる世界、ドロドロした楽園、そこに目指したのは自分の居場所を作ることでした。楽園には必ず「水」と「自然植物」と「人工物」が出て来るんです。最初は自然と人工物が一体化した世界を描いてましたが、宗教的な事を勉強しだしてから、人がモノに命を吹き込むことに興味をもつようになりました。人の思いが吹き込まれているものは、そこから放つ威圧感があります。私は別に霊感がある訳ではないですよ。(笑)でもある時、人の作ったあるモノから生命を超えるくらいのすごいエネルギーを感じたことがありました。その経験から、モノから感情や物語を感じ取りながらイメージを膨らませるようになりました。自分が感じてきたことや、扱うモチーフはだんだん変化していて、そのひとつひとつはバラバラに見えますが、思い返してみるとそれは全部繋がっていて、全ては自身の問題を解決していく大切な材料になっていたんです。そういう制作のスタンスや、根本というのはもうずっと変わらないんじゃないかなと思います。

 

P1070772.JPG

イルカプール/ 2011

 

影響を受けた作品や作家さんはいますか?

本当に多くの人に影響を受けているので、「この人」って言うのは難しいのですが、最近はバルチュスやフランシスベーコンが気になります。見た目は柔らかい曲線が多様された明るいイメージの絵ですが、どこか変で、不安を煽る。明るいプラスのイメージもあるけど、一度作品に入り込むと不安になったり、ちょっとぞくっとしたりする後味の悪さみたいなものを感じます。私は絵を見る時に、まず最初に「わからないこと」が大切だと思っていて、私の絵もすぐに分かってほしくないんです。わからないことがあるからモヤモヤしたり、後味悪かったりするのですが、そんな時ってしばらく考えてしまうじゃないですか。その考えるという行為が絵をみるとき大切だと思うんです。
万人が共感できて美しいと感じる絵よりも、見る人によって大きく印象の変わる絵。そんな作品に私は強く惹かれるし、そこを目指してるんだと思います。

 

最後に、「描く」とはどういう存在ですか?

私は、結局自分の中のコンプレックスや、抱えている問題を解決するために絵を描いているんだと思います。実は私には怖いものがたくさんあって、その怖いものを克服したり、供養するために絵を描いているのだと思います。自分の中に生じる負の感情をプラスのエネルギーに変換して表現するということに制作の意義を感じています。私が強い人間でいつも心が満たされていたら、私は今こんなふうに絵を描いていないと思います。瞬間瞬間の感情を忘れないように残していきたい。絵を描くのは必ず自分の感情が動いた時なので、作品を見るとその都度自分がどういう状況に置かれていて、どんな感情だったのかがはっきり浮かび上がってくるくらい、最近は作品と自分の距離が近いです。「私、こんなこと考えてたんだ。」と、知らない自分に出逢う瞬間があっていつも驚かされます。「描くこと」は「出逢うこと」なんだなあ、といつも感じます。

 

DSC_0093_1.jpgのサムネール画像


マ イナスなものも描くことでプラスへもっていく!作品に思いを落とし込み描き続ける酒井さん。作品と人柄とがリンクしたエネルギーで溢れ、感情のこめられた 彼女の作品は、見る人の足を止めるような魅力が沢山つまっています。彼女の言葉を記憶に残し、今後とも様々な場で作品を発表し続ける酒井さんの作品を改め て見たいと思いました。


 

IMG_8855_1.jpg

Artist Profile

酒井 遥 - Sakai Haruka -

略歴

2009 大阪府立三島高等学校卒業

2009 京都市立芸術大学入学 油画専攻在籍

HP : http://hamochan09131.jimdo.com/

twitter : @hamochan82

Facebook : http://www.facebook.com/haruka.sakai.10

【展覧会歴】
2009
学内展 未知展出展(京都市立芸術大学)
京都市立芸術大学作品展(京都市美術館)
2010
KyotoCurrent展2010 (京都市美術館別館)
高島屋アートオークション(京都高島屋ゆとりうむ)
アートオークション STORY...vol.1(同志社クラーク記念館)
学内展 ゆかげん(京都市立芸術大学アトリエ棟)
京都市立芸術大学作品展(京都市美術館)
2011
KyotoCurrent展2011 (京都市美術館別館)
市バスライブペイント「Can Bus Art」(阪急高槻市駅)
高島屋アートオークション(京都高島屋ゆとりうむ)
アートオークションSTORY...vol.3(同志社大学新島会館)
学内展「PLANE」(京都市立芸術大学アトリエ棟)
京都市立芸術大学作品展(京都市美術館)
2012
Spring!企画 酒井遥個展(京都祇園BAR-onelove-)
酒井遥 個展-Oval-(京都市立芸術大学小ギャラリー)
三人展-カーテンプール-(京都市立芸術大学大ギャラリー)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



  • 京都で遊ぼう総合TOP
  • 京都で遊ぼうART
  • 京都で遊ぼうMUSIC
  • 京都で遊ぼうSTAY
  • 京都の銭湯
  • 京遊本舗