京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生クリエイター 馬場知佐

ファッション/ )

April 01 Sun, 2012

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『KYOTO NEW WAVE』 第11回目は京都造形芸術大学の卒業制作展で作品を展示され展示作品がSHAKE ART!vol.8の表紙に掲載された、2012年度ファションデザイン学科を卒業された馬場知佐さんに取材させていただきました!


取材/後藤あゆみ、李生美 写真/後藤 テキスト/李  編集/後藤

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淡水パールと珊瑚のピアス (by Seaday)  / 2011

 

大学では4年間どういう事をされてたんですか?

洋服を作るコースなんで、最初の頃は洋服をメインで作っていました。でも2回生の時の写真の授業をキッカケに一眼レフを買って写真を撮るのがすきになったんです。進級課題という大きい課題があって、自分でコンセプトをたてて何着か洋服を作るんですけど、そこでおしまいじゃなくて、服をモデルさんに着てもらって自分で写真を撮って、一冊の本にまとめて自分の世界観を作り上げたりしました。3回生からはゼミや留学を通して自分がやっていきたい事を見つけていきました。自然と人を繋げたいと思って、海のものを使ったアクセサリーを作ったり。淡水パールとか珊瑚を使ったアクセサリーをみんなに身つけてもらえる事で、ちょっとでも自然を感じてもらえたら良いと思って。友達にもすごく人気で、喜んで買ってもらえたり、カフェに置いてもらったりして、こういう事を仕事に出来たら良いなと思ったりしました。

 

大学のゼミではどうのようなことをやっていたのですか?

3回生の前期のゼミでTHEATRE PRODUCTSのデザイナーさんにきて頂いた時に、東京のPASS THE BATONに期間限定でお店を出したいって提案されたんです。PASS THE BATONってリサイクルとかリメイクがコンセプトのお店で、それにちなんでTHEATRE PRODUCTSの売れ残りの洋服を私達がもう一度新しいものに作り変えてって商品を販売するというゼミで。 私、以前からリサイクルとかリメイクに興味があって、服を作ると絶対にはぎれが大量に残っちゃうんですけど、それをそのまま捨てる事が出来なくて、あまったはぎれで小さいぬいぐるみとかバックを作ってたんで。だから頑張ろうという気持ちが強くて、このゼミは個人的にすごく良い経験になりました。PASS THE BATONの企画・運営を行ってるスマイルズっていう会社の社長さんにもこういう事をやりたいって直接学生達でプレゼンテーションしました。それで許可をもらって8月の半月ぐらい、期間限定でお店をオープンしたんです。スカートをポンチョにしたり、ブラジャーをがま口にしたり、このお店が大好評だったみたいで。学生なのにすごい、クオリティーも高いって社長さんもすごく喜んでくれたんですよ。商品はほとんど完売してPASS THE BATONにも好評で、それがすごく嬉しかったです。PASS THE BATONってやってる事が素敵じゃないですか。環境的な場面じゃなくて、誰かが使わなくなったものをまた新しく誰かに着てもらう事の繋がりとか、接続していく事に意味を見出してる。これが終わって、やっぱり私がやりたい事はこんな感じの事やなって、自分の芯みたいなのが出来たんです。

 

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overlap(earth) / 2012

留学経験を通してどんな事を学びましたか?

私もともと自然がすきで、家は生まれてからずっと都会生活だったんですけど、自然とか海の事に興味を持ち始めて、海洋学を勉強し始めたんです。自分で本とか読んでたんですけど、やっぱり自然にかこまれたところに住みたいなと思って、3回生の夏に1ヶ月ぐらいハワイに短期留学に行ったんですね。写真も撮りたかったですし。通ってた語学学校で、ハワイ大学っていう海洋学を熱心に教えている大学があって、そこに通う人と仲良くなって色んな所に連れて行ってもらったり、ホームステイのお家も田舎の方で、窓を開けたら山みたいな環境で、そういう所に住んだ事がなかったんで、こんな世界があるんだと驚きました。私の周りの友達とかもみんな都会育ちで、自然の遊びとか自然の楽しさを全く知らないんですよ。でも私が自然の時間を知れた事で気持ち的にも楽になったから、自然と人を繋ぐ仕事が出来たら良いなと思たんですね。そういうのを自分なりに探しながら、制作を洋服メインからリメイクとか写真のコラージュというか、記憶と想像の混じり合ったものに変えていきました。

 

卒業制作作品について教えてください。

ファッションコースって最終的に服になるって事から入っていくんですけど、今回はそういうのを全部捨てて、自分のやりたい事というか、自分が無意識にやっていったら最後どうなるんかなって想って、入り口を服って決めずにやってみました。
地球の作品はわざと陸の部分をくりぬいてるんですけど、世界地図って陸がメインで描かれてる事が多いじゃないですか。海って研究をしてても全体の2%もまだまだ分かってないらしくて、そういう知らない世界だからこそ、想像したり想う事で色々希望が生まれるなって思ったんです。自分自身がそうやったんで、もっと知らないところにフォーカスを変えて、想像していく事で自分の世界も変わるかもしれない。それで海の部分に刺繍を施しました。
クジラの作品はハワイのマカプウ岬の写真なんですけど、クジラを見たくて行ったのに時期が違ってクジラを見れなかったんです。写真って、もう全部過ぎ去った出来事じゃないですか。一秒前でも10分前でも1年前でも。そういう写真に自分がまたこの先のイメージを重ねていく事で、新しい風景とかが自分の中で出来て、またそれが次への元気とか希望とかになれたりするんです。それでもっと素晴らしい出来事を自分でイメージして重ねていって、あの時クジラは見れなかったけど、自分のイメージで風景も変えていれる。昔よりもっと素晴らしい事を想像して未来を見出そってクジラを刺繍しました。

 

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overlap (whale)/ 2012

 

影響を受けた人やものはなんですか?

うちの父がアート本とかの印刷会社をやっていて、海とか波の写真が載ってるサーフアートの本とか、京都造形の後藤繁雄さんともお仕事をしてたんで、卒展の本とかが小さい頃から家にあったんです。それで自然を好きになったり、写真を撮ったり本を作ったりに繋がりました。刺繍の面では刺繍作家の有本ゆみこさんに影響を受けました。ちょうど大学入学時にCASOで卒業生の選抜展覧会があったんです。その時に有本さんの作品を見て、刺繍が本当にすごくて、こんな事を芸大でやんねや!って強烈な衝撃を受けましたね。

4年間の京都での生活はどうでしたか?

良かったです。この大学を選んだのも山にあるからなんですよ。空気が全然違うし、ここで勉強できるってすごいなって一目惚れして決めたんです。自然とか虫もすきですし、学校に通うのも毎日遠足に行ってるみたいで。専門学校も見に行ったんですけど、服だけじゃなくて、他のものを作ったり、絵も描きたいと思ったし、大学って違う分やの勉強をしてる人達が周りにいるじゃないですか。専門学校やと周りには服を勉強してる人しかいないし、もっと色んな人と出会いたいなと思って大学を選びました。
高校生の時は遊びといえばカラオケとかクラブしかなくて。することが思いつかなくて時間を持て余してたから退屈で退屈でしょうがなくて。でも大学に入ってから課題が忙しくて暇がなくなって。それが自分的に嬉しかったですね。なにかをつくる喜びを覚えてからは、空いた時間は全部制作に費やしてました。遊びに行くのも海にいったり、虫を捕まえにいったり、山登りをしたり遊び方を覚えたというか。バイトでお金を貯めて旅とか行くのもすきでしたね。

 

今後の夢や目標なんですか?

去年の3月に震災があったじゃないですか。私はそれまで海がすきとかグジラがすきとか結構簡単に言ってたんですけど、津波とかあんな大きな事があって、すきとか簡単には言われへんなって思って。もっとちゃんと海の事を知りたいと思ったんです。大変な事があった時に、役にたてる知識とか自然の事をちゃんと勉強しようと思ってハワイ大学の海洋学部に留学しようと思ったんです。でもまず語学力も足りなかったし、勉強の基礎も全然出来てなかったり経済的な理由ですごく悩んだんですけど、私なりの方法で自然と繋がる事が出来るかも知れないと思って、やっぱり一回社会に出てお金を貯めてある程度自分で勉強してから行こうと思って就職っていう道を選んだんですね。やっぱり人が好きなんで、人と自然を繋げる仕事をしたいのは絶対で、アクセサリーを作ってみんなにあげたり、創作活動をして展覧会をしたり色んなやり方を模索中なんですけど、目標は最終的に自分なりのやり方で、自然と人とを繋げる場所を作りたいですね。そういう場所を作れたら一番です。
 

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繊細で華やかな作品やアクセサリーを作られる馬場さんの芯には、海をや自然を愛する強い思いがあり海洋学を学んだり留学したりと自分の好きなことに対する真っすぐな夢と、行動し形にするパワーを持つ素晴らしい作家さんでした。今後とも、馬場さんの作られるリサイクルから生み出す自然と人の繋がった作品や商品を拝見できるのがとても楽しみです。


 

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Artist Profile

馬場 知佐 - Baba Chisa -

1989 大阪生まれ
2012 京都造形芸術大学空間演出デザイン学科ファッションデザインコース 卒業
海洋学を独学しつつ、自然と人とを結ぶ「何か」を永遠のテーマとし、
廃材を使ったバッグや洋服の制作、写真にドローウィングや刺繍をし、
記憶と想像から生まれる風景を描く制作、「身に付けられる海風」を
コンセプトにアクセサリーブランド「SEADAY」をスタートするなど、
様々な手段で制作活動中。

WEB : http://chisabb.blogspot.jp/

フリーマガジンSHAKE ART!vol.8の表紙に作品を掲載。

http://shakeart.jp/shakeart/archives/811


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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