京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生作家 桃田有加里

油絵/ )

February 29 Wed, 2012

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『KYOTO NEW WAVE』 第10回目は京都造形芸術大学院に在籍し、油画を学んでいる学生作家の桃田 有加里さんにインタビューさせていただきました。


取材/後藤あゆみ、湯浅聡美、井口美穂 写真/後藤あゆみ テキスト/湯浅聡美、中澤春香 編集/後藤

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「無の顔」/2012年

 

現在どのような活動をされていますか?

今は油彩を中心に制作しています。大阪のIFFA展での展示、去年はART ZONEにて個展を行いました。コンクールにも挑戦していて、今度上野の森美術館大賞で賞をいただくことになりました。京都でもまた巡廻展があります。大学1回の時にも東京でソロ展示をやったんですが、実はこれが大失敗だったんです。まず作品のストックがない。その頃は半年に1枚のペースで制作していたのですが、展示の予定は1年後。納得がいくものが作れなくてとにかく焦りました。この失敗から個展に対しての成功イメージが持てないでいたんです。それが昨年ART ZONEに通過した時には4年分のストックも溜まっていたし、周りにも支えてくれる人達がたくさんいて。「あ、個展ってこんなに楽しいものなんだな」と思いました。
 

これまでの活動の中で印象に残っている出来事は?

やっぱり東京での展示が、失敗という意味で強く印象に残っています。その経験が個展での成功にもつながったので。長野でのグループ展も印象的ですね。関西の色んな芸大生との出会いも刺激的だったし、自分達で一からつくりあげていくというのが新鮮でした。それと、以前体調を崩して絵を描くこと以外何もできない時期があったんです。その時の絵をwebで公開してみたら「感動した」とのメッセージをいただきました。それがはげみになっています。作品は発表しないと見てもらえないままなんですよね。高校のとき賞をいただいたことも大きいのかな。認めてもらいたくて出したものだったので大きな賞をいただいたのが自信にもなりました。良い経験をさせてもらったなと思います。

 

絵を描き始めたきっかけは?

もともと描くことよりも見る方が好きだったんです。高校生の頃にたくさんの美術書の中からたまたま目にとまったのがルドンとアンソールでした。ルノワールが美女を描いて美を表すとしたら、ルドンは内面的なところを描いて美を表すような。彼は病弱だったため生後まもなく里子に出されていて、家族に見捨てられたという疎外感から自分の内に籠った表現をよくするんです。そしてアンソールは人間の本性を正直に描いている。そういうルドンの純粋さや、アンソールの正直さのようなものを表現できたら、と思って絵を描き続けてきました。
 

 

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「隣人」/2011年

身近なところで影響を受けたものはありますか?

京都造形の山河先生の「人の欠点とか悪い部分を変換してくれるのは芸術だけなんだよ」という言葉です。この言葉を聞いてはっとなりました。自分が、絵を描くことを認めてもらえたようで嬉しかったですね。他には、母が磁器人形をつくっているんですが、私の絵を見て「人形みたい」と言われたことがあります。私としては人形じゃないのに!と半ば不本意だったんです(笑)。でもずっと身近にあった母の陶器から少なからず影響を受けているのかも。もともと色んな影響を受け易いところもありますね。絵の中の人物を見ていると親近感をおぼえたり、生身の人間と話している時よりも絵を見た時の方がその作者を近くに感じられる。まだ今は普通の人と人のコミュニケーションをさびしいと感じることもあるんです。そのさびしさを埋めてくれるのが絵なんじゃないかな。

 

油絵のおもしろみ、魅力について教えてください。

油絵って道具などの組み合わせ次第で表現の幅がとても広がるし、とても自由ですよね。少しずつ作風が変わっていくなかで自分にあった表現方法が見つけられるのが魅力だと思います。

 

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「編み物をする人」/2010年

 

普段の京都でどのように過ごしていますか?

院のアトリエで制作していることが多いです。休みの日はよく実家のある奈良で過ごしているので実は京都ではあまり遊ばないんですよ。だけどひとつ京都ですごいなと思うことがあって。あまり良いことじゃないですけど、京都は人が多いので電車の中などで人の話につい聞き耳をたてちゃうんです (笑)。そうしたら「まわりの芸大生はこんなこと言わない!」って思うような考え方や発言がたくさん耳に入ってくるんですよ。日頃自分が京都造形の洋画という、いかに狭い領域にいるのか実感させられますね。
 

今後の目標や活動について教えてください。

身近な目標ではないのですが、死ぬまでに自分の作品に「感動した」と思いたいです。今まで描いてきた自分の作品に対して、ルドンの作品を見たときのような「はっと感動したもの」ってないんですよ。だからまず自分を感動させてから人に見てもらいたい。今後は海外へ行きたいと思っています。まだ今は夢の状態ですが。洋画の他にやっていきたい表現は立体ですね。去年の個展でもちょこっと立体作品を出していたりします。油絵とはまた違って形にしていく過程が楽しいですね。


 

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穏やかに優しく作品や制作についてお話してくださった桃田さんの言葉からは、美術に対する深い愛情が伝わり、桃田さんの作品を見て 今にも動き出し表情を変えそうな作品の姿に目が離せず 強く心引きつけられました。
様々な形体で表現していく桃田さんの今後の活動や変化がとても楽しみです。

 


 

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Artist Profile

桃田有加里 - Momoda Yukari -

WEB : http://yu-m.net

■経歴
1987年 奈良生まれ
2007年 京都造形芸術大学入学
2011年 京都造形芸術大学卒業
2012年 京都造形芸術大学大学院 芸術表現専攻在学中
     佐藤国際文化育英財団 第21回奨学生

■活動歴
2005年/ 
Royal Exhibition Building (オーストラリア)
第三回高校生現代アートビエンナーレ グランプリ、大原美術館賞
 (大原美術館児島虎次郎記念館/倉敷)
2006年/ 
Taboo(三人展) (ギャラリー青城/仙台)
2008年/ 
FANTASTIC ART SHOW -TOKYO-2008 (世田谷美術館/東京)
トーキョーワンダーウォール公募2008 
審査員長賞受賞 (東京都現代美術館/東京)
2009年/ 
トーキョーワンダーウォール都庁展「黙展」 (東京都庁/東京)
2010年 
TOKYO WANDER WALL 2000-2009 10年! (東京都現代美術館/東京)
ORA展 vol.2(京都造形芸術大学学生選抜展) (Court Gallery/東京)
2011年/
IFAA/OBLIQUE展 (青木画廊/東京)
超カワイイ主義宣言展 (山ノ内町立志賀高原ロマン美術館 長野)
山ノ内町立志賀高原ロマン美術館のWEBサイトを制作
Fantastic art show -tokyo- 2011展 (東京交通会館2Fギャラリー/東京)
谷崎潤一郎の愛した宿にて-それぞれの「隈」を考える- (ぎおん森庄/京都)
個展「ひとになる」 (ARTZONE/京都)
「BIJOU ノエルの贈りモノ」展
 (コンセプショナルブティック&ギャラリー・ジィオデシック/東京)
2012年/ 
IFAAミニアチュール展 (ギャラリー ベルンアート/大阪)

About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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