京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

エントリー詳細

学生日本画家 服部しほり

日本画/ )

January 30 Mon, 2012

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『KYOTO NEW WAVE』 第9回目は京都市立芸術大学に在籍し、日本画を学んでいる学生日本画家の服部しほりさんにインタビューさせていただきました。


取材/佐々木梨乃、西尾 明日香 写真/佐々木梨乃 テキスト/西尾 明日香 編集/後藤あゆみ

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鶴伝年 / 2010年

 

現在どのような活動をされていますか?

 

私は昨年に大学院に入ってから、学部の頃よりも更に外に向けて発表していかなくてはと思い、色んなところに作品を出しました。公募展やグループ展、また去年の秋に個展も行い、発表の場を広げています。既に日本や世界には「いい作品」というのは残っていて、私はそれを今すぐには超えられないけどいずれは超えていきたいと思っています。もちろん絵画研究を第一に考えていますが、そんな中で、その作品たちが今できなくて私が今できることは何かと考ると、それは私が「今、生きていること」。その作品の作者たちはもう亡くなっているけれど今私は生きていて、これからまだまだ絵を描いていく、その先に自分のやり方で発表したり人と関わるということは大きいなと思っています。なので、描くだけではなく、作品を発表するところまで大事だと考えて、活動しています。たくさんの人に観て頂きたいし、今ある発表の仕方だけでなく、自分でもっと選んでいけたらいいなと思っています。

 

 

 

 

今までの活動で印象に残っていることなどはありますか?

大学3回生の時に初めてアートオークションに出品させて頂きました。外に向けて発表するのがほぼ初めてだったのですが、それがオークションという特殊なもので、自分の絵に値段がついて金銭が動いていくということが、とても衝撃的でした。院を修了した後も作家として絵を仕事にして生きていこうと思っているので、もちろん自分のやりたいことは続けていきますが、絵を買ってくれる方・お客さんがいてなんぼのところも絶対にあります。応援してくださる方がいてこそ私の活動は続けることができるので、その方たちの要望に応えていくことは非常に大事なことであると考えるきっかけなりました。オークションで、多くの人とつながりを持つことの大切さを知ることができたので、とても印象 に残ってます。これからずっと絵を描く仕事をしていくためになる、私にとって大事な一歩でした。

 

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愚痴なる親仁形の台詞にて云ふ/2010年

京都でどのように活動を行いたいですか?

私は生まれも育ちも京都なので、京都にすごく思い入れがあります。もちろん活動範囲は広げていきますが、拠点は絶対に京都に置いておきたいです。特に京都には本当に良いものが多く残っているので、それらといっしょに並べて置いてもらえるような、この歴史ある土地に相応しい作品を作りたいです。

日本画の面白さってなんですか?

日本画という絵画文化は、静止しているところが面白さです。
また、素材を活かすことと自分の表現を活かせるかどうかのバランスであったり、その素材を活かした時に生まれる、他の絵画分野では表現できない透明感や爽やかさが大切だと私は思ってます。

 

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ストリートオルガン ~風のO3~/2011年

 

影響を受けている作家やものは何ですか?

私はとても流されやすい性格なので、身近な周囲の人、みんなから影響を受けています。あとは、過去作家の作品を図録や美術館で見て感動したものを、「どういう風に描いているんだろう」とか「どういうことを表現したくて描いたのか」ということを探っていくのがすきです。 特にすきな作家は…いっぱいんいるんですが、最近は江戸~明治時代の画家、渡辺小華さんという作家さんに注目しています。植物をよく描かれた方なのですが、そこに無くてはならない要素がしっかり在って、でも余分な要素はひとつも無い。ゴチャゴチャしている絵があまり得意ではないので、スッと見られて、後味が爽やかな作品に惹かれます。昔の絵をみるのが本当にすきで、描き方や技法を参考にしたり、いつも古画から多くのことを学んでいます。日本画学生の多くは、絵を描く前にモチーフをしっかり写生してから描きます。私の場合は集中力が無いのか、注意が散漫すぎるのか(笑)じっと写生をすることが苦手です。人物は昔から描くのが好きで、幼稚園の時から漫画を模写したり放映していたアニメを見て描いたりしていたので、人物なら写生しなくともある程度描く事ができます。でも、人物以外のモチーフは全然描けないので、しっかり自然から頂いてこようと思います。なので、これからは訓練して写生をしていき、それを活かした絵を描きたいです。

 

制作展はどのような作品を制作していますか?

最近テーマにしている、「余白」を大事にした制作をしています。必要に在る、「余白」を増やしていきたいです。

一年程前は画面いっぱいに多くの要素を詰め込むことで防御が出来ると思っていたけど、それは私の心の弱さみたいなところが出ていたことで。防御するのではなく、少しの要素で攻めていくことも絶対に可能であって、詰め込まなくても一つ一つのクオリティをあげることで何も描いてない空間が何かに見えてくる…。デッサンでも「空間感」とよく言われましたよね、そういう風に余白の部分もちゃんと床や宙にみえる、また、それ以上の何かにみえるということは日本画でこそ表現出来ることだと思うので、作品から「余白」を感じてもらえたら嬉しいです。本当は色々なことをしたいという気持ちがあって、それを抑えて絞ることは日本画の見せない美に繋がっていくと思いますし、それも取り入れていかないと過去の「いい作品」には届かないと感じています。そうして何も描かなかったところが、ただすっぽ抜けているだけになるのではなくて、描く必要がなかった余白になっているような絵を作りたいなと考えます。

 

 

今後、どのように活動していきたいですか?

これからも京都に拠点を置いて絵を描いていきたいのですが、他の場所にもどんどん発表していけたらいいなと思います。
私は日本がすきなので、日本の力になりたい、日本の国力になりたいってすごく思うんです。ただ、美術はよくわかない、一言で終わってしまうことや、日本画なんかは実際より敷居が高く見られたりするし、なかなか一般市民にまで絵を浸透させていくことって難しい。でも、それは変えていける。昨年個展をしたときに感じたことですが、自分が絵で生活をしていこうと周りにアピールすると「絵を描いてる服部さん」と認識されて、日常生活で絵と関わりのない中学・高校の友達が展示を見に来てくれたり美術に興味持ってくれて…、身近なところからでも、わたしの作品や生き様から、絵の面白さとか美術・芸術自体に興味を持ってくれる、そんな人がどんどん増えてくれたらいいなと思います。
また、日本って昔は本当に文化的な国だったけど、戦争が終わってすっかり文化より経済の国になってしまって、特に現代は大量消費の世の中で、ものを長く使わなかったり機能性やデザイン性よりも安さ重視になっています。使えなくなったらすぐ捨てる、修理せずに次のものに買い換えたらいいとか、そういうのはすごく寂しい。わたしも100均はすきですが(笑) でもやっぱりそうじゃない、大量消費じゃないいいものを長く愛でるところも欲しいし、ちゃんととどめておきたい。それが日本のよさやと思うし、そういう日本の文化・芸術と、風習や空気感も絵の中にとどめておいて次の世代にも伝えていきたいです。わたしの活動が、そんな一助になればうれしいです。
 

今後の活動予定を教えてください。

次の個展は中部進出。岐阜、名古屋と続けて開催するんですが、今まで京都でやってきたものも残しつつ、初めて京都以外へ出て行くので新しいことに挑戦していく、意思を見せたいです。服部しほりっていう人物がいるぞ、っていうのを見せてこられたらいいと思っています。


 

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力強く美しい作品の印象と、服部さんの口から聞いた熱い思いや目標、日本の文化を思い自分自身に出来ることを考え行動する生き様や言葉に心奪われました。これからも幅を広げ多くの場で活躍されるであろう服部さんの今後の活動がとても楽しみです。

 


 

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Artist Profile

服部しほり - Hattori Shihori -

WEB : http://shihori2hattoori.web.fc2.com/

Twitter : hattoori2

Facebook : http://m.facebook.com/profile.php?id=100003227135133&_rdr

■    略歴
1988年    2月 京都に生まれる
現在     京都市立芸術大学修士課程日本画1回生 在学中

■    個展
2010年2月 服部しほりの楽しい展覧会 BABA/ギャラリーi(京都)
2011年4月 愛とは夜に気付くもの/祇園ONELOVE(京都)
     10月   俺の園/ギャラリーi(京都)

■ グループ展
2011年8月 COLORS OF KCUA 2011~京都市立芸術大学芸術学研究室による総合選抜展~
      /京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(京都)
   11月 京の若手日本画三人展/西宮阪急百貨店(兵庫)

■  受賞等

2010年4月 高島屋京都店「京都いいMONO再発見」広告キービジュアル起用
2011年2月 京都市立芸術大学卒業作品展「同窓会賞」受賞/京都市美術館(京都)
            4月 第10回三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選/三菱商事本社ビル(東京)
     6月 2011京展「館長奨励賞」受賞/京都市美術館(京都)
    10月 碧い石見の芸術祭2011~全国日本画学生選抜展~「浜田市議会議長賞」受賞
                      /島根県浜田市立石正美術館(島根)
    11月 第5回豊橋トリエンナーレ 星野眞吾賞展~明日の日本画を求めて~ 入選
                     /豊橋市立美術博物館(愛知)
           12月 第13回三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選/三菱商事本社ビル(東京)
                      三菱商事株主通信 No.33(2011年度第1・第2四半期報告)表紙採用
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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