京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

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学生作家 富田直樹

作家/ )

December 26 Mon, 2011

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『KYOTO NEW WAVE』 第8回目は京都造形芸術大学に在籍し、総合芸術を学んでいる学生作家の富田直樹さんにインタビューさせていただきました。


取材/後藤あゆみ、李生美 写真/後藤あゆみ テキスト/李生美

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NO JOB/2011年

「SANDWICHES」2011年 展示風景 ホテルアンテルーム京都 撮影:表恒匡(SANDWICH GRAPHIC)

 

 

現在どのような活動をされていますか?

今年に入ってからは制作のみです。立体作品もたまに作るんですけど、今は油絵を中心にやってますね。僕が入ってる総合造形ゼミっていうコースはちょっと特殊で、選抜的に選ばれた学生達が入る教室で、アートにやる気のある人達が集まってるところなんです。先生達も有名な人が集まってて。毎年ARTZONEでは総合造形の4回生展が決まってて、今年の夏に展示させてもらいました。その後は、主に制作は卒業制作に向けて制作をしてますが、展覧会とかアートフェアのイベントで声をかけられたら参加したりしてます。11月には名和晃平先生のお誘いでホテルANTEROOM京都に展示もしてました。
 

京都造形に入学して、自分自身が変わったことはありますか?

2回生ぐらいまでは漠然と街とか人間とか自分達がいる場所とか仕事に興味があったんだけど、それをうまく表現出来なかったんです。でも2回生の終わりに京都造形大で2年に1度開催しているアーティストサミットに学生枠として参加し、自分達が世の中に対して持ってる疑問を発表する機会をもらったんです。その時に椿昇先生と初めてお会いしてディスカッションしていく内に、自分自身が何を見ているのか、を掘り下げていけた気がしました。今、シリーズで描いてる「NO JOB」というフリーターの人達の肖像画の元になるものをアーティストサミットで作れたんです。その後、3回生の進級課題では、フリーターの肖像画の発展で無印良品のホームレスの家を作りました。庭付きのギャラリーでの展示だったんだけど、誰も庭をやりたがらなくて。僕も絵を主にやってたから当然室内が良かったんだけど、先生に「富田外でやれ。」って言われて「はい。」みたいな(笑)外だったら絵は展示出来ないなって考えて。無印良品って新しく生活を始める人に対して新生活応援フェアとかやるじゃないですか。こんなご時世だしその内ほっといたら「新しく春、ホームレスになる人達へ」みたいなのを無印がだすんじゃないかって思って、だったら僕が先に作ろうって思って家を作りました。

 

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ユニクロと僕 /2011年

テーマにユニクロや無印良品を選ぶのはなぜですか?

僕自身が結構ユニクロとか無印がすきで、すごく親近感を覚えるんです。自分自身がなにで作られてるのかを考えた時に、セレブリティなものではなくてユニクロや無印が自分自身な気がするし、それに共感する人も結構いるんじゃないかなって気がして選んでいます。ユニクロって、安くてクオリティーが高くて色んな種類があるからみんな買ってるんだけど、ユニクロが企業として伸びた背景として消費者のお金がないっていう現状があるし、みんな自分は特別っていう気持ちとは反対に、人と一緒に見られたいとどこかで思ってる気がします。僕自身がそうなんですよ。僕、元々暴走族で、やめる時にもう暴走族とは関わりたくないって思って自分自身を変えるために、まず見た目を普通にしたかったんです。人ってやっぱり見た目で判断されるし、自分もユニクロの様なコスチュームを着る事でそっちに所属出来るような気がしたんです。だから自分の人生をリセットするというか、普通になりたいって意志が強かったんでユニクロを着てました。街の中でみんなが平均化して、それをみんながどこかで望んでる気がするんです。みんなの枠の中にいるのが安心という日本人の姿の象徴として、ユニクロがあるんじゃないかと思います。

 

自分に影響を与えたものはなんですか?

子供の頃、夏休みの宿題の絵日記で、海の絵を描いたんです。クレヨンのブルーで。それを親に見せたら、「海はブルーじゃない。ようく見てみろ。もっと緑で汚れてんだろ。」って言われたんです。確かにその通りだと思って。子供ながらに海は青だと思いこんでたんです。それから現実のものを現実の通りにとらえようっていう気持ちがでてきましたね。あと、先生達って今思えば美術に関して特に影響を受けてた気がします。未だに先生達に教わった事を思い出して絵を描いてるし。小学生の時の図工の先生には、人の肌を描く時は人間の肌の面を感じながら筆を動かせとか、塗り残しを作るなとか教わったり。中学校の担任の先生が美術の先生ですごくいい先生で、夏休みに友達と2人で学校に行って、先生と一緒にデッサンやったり。それで美術をすきになりました。大学で会った先生達の影響もすごく大きいです。予備校の先生で、京都造形出身の大庭大介さんが、京都造形っていう大学もあるよって教えてくれて、それで京都造形に行こうって思いました。

 

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ホームレスホーム(無印良品)/2011年

 

暴走族の過去もあり、吉本にいた過去もある富田さんですが、美大に入り制作をするようになったキッカケはなんですか?

実は美大に入るために絵を始めたんです。吉本2年目の時にこのままやり続けても売れる芸人になれるか不安で、そんな時にちょうど芸人のロザンさんが京大キャラで売ってたから僕も芸大に入ったら芸大キャラになれるんじゃないかって思って、キャラ作りで始めたんです。絵には自信あったから、東京芸大にでも入って芸大生でもやりながら芸人できるなって最初は思ってたんです。でも全然受かんなくて。受験2年目はお笑いも辞めて結構本気で頑張ったんだけど、2次試験で落ちて。多浪していく内にだんだん美術の方が魅力的になり出しました。最後の年は京都造形と東京芸大を受験しこっちに来ました。
 

自分にとって作品はどんな存在ですか?

自分が誰かにものを教えたり語る時って自分が体験した事とか、自分で考えた事じゃないと喋れないんですよ。本当はこうらしいよとか、誰かが言ってたよとかじゃ説得力ないじゃないですか。僕がこういう体験をしたんだ。だから世の中こうなんだって言いきれる瞬間って、自分が体験した事でしかなくて、それで人が納得してその人の生き方とか考え方が変わったらすごくハッピーな事だと思うんですよ。例えば僕がこんな生き方をして苦労したから気をつけなさいって言って、みんなが確かにそうだねって気をつけられたら、それはなによりだし、そのために描いてるような気がするんです。
 

京都での休日の過ごし方を教えてください。

休日はユニクロに行ってるかな。休日でも大学で制作してるんだけど、気分転換でユニクロに行ったり、三条行ったりしてます。僕、元々洋画出身なんだけど、京都造形の洋画って新入生が入ってきたら京都の三角州で桜がないのに花見をやるんです。毎年震えながらお酒を飲むっていう。だから三角州には色んな思い出があるし、鴨川とかも楽しいな。僕は関東の茨城出身なんですけど、京都はすごい魅力的な場所だと思います。
 

今後の目標はなんですか?

作家としてなんとか生計をたてていけるようにがんばりたいですね。お笑いも暴走族も今やってる事と近いっていうか、舞台にたつものが自分か作品かって差なだけで、暴走族の時はバイクの塗装を一生懸命やって組み立てるのがすきだったし、お笑いもネタで物語を紙に書いたり、暴走族やってる時もお笑いやってる時もずっとモノ作りをしてたんです。何か作るのがすきだった。お笑いはもうしないけど、人を驚かせたいとか、楽しませたいっていう事はやっぱりずっとやっていきたいですね。

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暴走族時代や吉本で経験したことを越え、当時の自分を見つめ向き合い作られた作品は、視点が面白く 私達の目を捉え離さないものでした。 人を楽しませたいという思いも持ち制作し続ける富田さんの今後の活動がとても楽しみです。

 


 

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Artist Profile

富田直樹 - Tomita Naoki -

略歴/1983年、茨城県生まれ。
10代に暴走族を経て、吉本興業の東京NSCに入学。
その後、2008年京都造形芸術大学 美術工芸学科
洋画コース入学。現在に至る。
2011年 Spatium SANDWICH #3「SANDWICHES」に出展。
(ホテルアンテルーム京都 GALLERY9.5)
2011年 京都造形芸術大学 優秀学生賞 受賞。
 

2011.12.28  -  2012.01.15 大阪梅田のファッションビルE~maで行う

SHAKE ART!主催のBOYS BE ARTISTに出展!

http://boysbeartist.jimdo.com/


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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