京都の若手アーティスト特集【KYOTO NEW WAVE】

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学生デザイナー 仲村健太郎

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July 12 Tue, 2011

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『KYOTO NEW WAVE』 第3回目は京都造形芸術大学に在籍し、グラフィックデザインを行なっている学生デザイナーの仲村健太郎さんにインタビューしました。


取材/後藤あゆみ、中山奈美、伊藤沙桜 写真/後藤あゆみ テキスト/中山奈美 


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「ULTRA AWARD 2010」プレフライヤー (2010)

 

現在どのような活動をされていますか?

学科の課題はもちろんですが、さらに授業の一環でULTRA FACTORYのCritical Design Lab.というところでも勉強しています。
そこではデザインの研究をしていて、いろんな分野のデザインを横断して「デザインって何だろう」って考えたり、クリティカルデザインという領域があるんですが、アートの分野のように「美術館」という装置が必要ない身近なデザインを使って、「肯定する」デザインではなく「批評する」デザインの力を使って社会問題を投げかけるんです。ゼミですが、面白いプロジェクトで、勉強になっています。
また、今まで出会った人たちからの仕事をいただいて主にグラフィック、エディトリアル、展覧会の空間などのデザインをしています。

どうしてデザインを始めたんですか?今のデザインのきっかけは何ですか?

そもそもは中学1年生のときに見た佐藤可士和さんがデザインしたSMAPのCDジャケットに衝撃を受けたことが始まりです。
そのデザインを見て初めて、グラフィックデザインの魅力に惹かれました。それまでは福井の田舎に住んでいて、物作りから遠い生活をしていたんです。でも、そこからデザインに対する興味が湧いて行きました。それから高校でMacとIllustrator等を親に買ってもらって、田舎にいた僕の唯一のデザインの情報源だった「広告批評」を読みながら「デザインをする」ことを意識し始めましたね。
その頃は、僕の一番身近なメディアだった携帯電話の待ち受け画面を作っていました。
デフォルトの待ち受け画面に満足できなかったので、自分で作ろうと思ったのが始まりなんですが、それを小さいサイトで配信して、見た人の「こんなのが欲しい」っていう要望に応えるっていう、軽いクライアントワークみたいなものはしましたね。他にも高校の学祭のポスターとかもデザインしました。

「つくる」ことにおいて、デザインを選んだのはなぜですか?

田舎にいて情報が少なかったのもあり、あまり視点が広がらなかったのは理由かもしれません。それに、その時はアートとデザインはかなり遠いものだと思ってました。
だから僕が「つくる」のは、デザインすること以外ではあまり考えなかったんですよね。
あとは、「相手」の為につくる事が、もともと性にあってるんだと思います。「仕事」をいただいて、それをより良く仕上げる、っていうのが僕の中で気持ちいいんですよね。
 

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「,hand」リーフレット (2011)

さらにその中でタイポグラフィのデザインを選ぶのはなぜですか?

「文字」が持つ、形と意味とのつながりがおもしろいと思うからですね。
形はただ「○」でも自由度がすごく高いけれど、文字は「A」なら「A」の意味を崩す事はできないじゃないですか。その「文字」に、書体の違いなどで感じる、少しのイメージの差を作るが楽しいです。
それに僕は今まで絵をたくさん描いてきたわけじゃないので、クライアントであるアーティストの方のアートや作品に対する姿勢をタイポグラフィのデザインの領域で、もう一回解釈し直して定着させたらどうなるのかなって考えながら進めています。
 

影響を受けたものはありますか?

細かいスタイルで、「好き」っていうのはあるんですけど、デザイナーをその人のデザインの背景や、デザイナーの周りの環境やクライアントも含めて 全体的に見ると、好きって言ってまねできるものじゃないから特定の人に熱中する事は無いですね。
「この花可愛い」っていうレベルで、「この色可愛いな」「約物の使い方がいいな」とか「印刷と紙とデザインの組み合わせって面白いな」とか思って見ています。
 

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「梅田哲也個展 はじめは動いていた」フライヤー(2011)

 

活動をする上で「京都」を意識する事はありますか?

学校を出て京都以外などであまり仕事をしてはいませんが、あまり野望とかは無く、目の前の仕事を精一杯頑張るのが僕にできる事だと思います。
作る大学にいて、求められる場があるから、僕に仕事が来るのは本当に有り難く感じています。
以前、京都アートフェアでの映像イベントのビジュアルのお仕事をさせていただいたこともあって、京都は芸術と土地が密接に繋がっていることを感じました。そこが京都のいいところだと思います。
京都は若手の方々も多くて、いろんな面白い試みがどんどん生まれますよね。そういう試みで何かヴィジュアルの仕事が必要だってなると、一緒に仕事が出来るので、京都に来てよかったです。

クライアントワークの他に自主制作はされていますか?

1、2回生はクライアントワークが多かったんですが、最近自分の表現にもっと密度が必要だなって思い始めました。そこで大学のクラスで自主的にやっている週末ワークショップで、自分たちが気になった事を実践する場所を作るっていうのをやっています。
先日は、フライヤー置き場から適当に選んだ1枚のフライヤーのテキストを全て抜き取って、参加者にテキストデータを配り、一時間でどれだけデザインが完成するか、っていうワークショップをしました。
そのときのテーマは、文字の書体や形等の物理的なものに対して、限られた時間の中でコンセプトよりも反射神経でどう呼応するか、を試すことでした。
実際にすると、手癖がわかったり、反省点もたくさん出てきて、面白いものになりましたね。このワークショップはこれからも続けようという話をしていて、デザインに対して「つくる/かんがえる」トレーニングになるので、自分にもとても実のあるものになると思います。
 

作る上で大切にしている事はありますか?

文字がもともと好きなんですが、グラフィックデザインには必ず文字が必要ですよね。
そのときに意味がしっかり伝わるか、読みやすさ、心地よさ、気持ちのいい文字のデザインがいいと思うんです。いろんなデザインをしますが、いつでも外せない部分です。さらにプロジェクトの伝えたい事がしっかり伝わるかも大切だと思っています。それに「編集」もすごく大事にしてることですね。読ませる順番やリズムでデザインもしたいです。デザインと編集は密接なものでないといけないんじゃないかな。
あと、クライアントワークは言われた事ばかり聞いてると、つらくなってしまうんです。そういうときに自分から提案するようにしています。予算が少なくても、どこにお金をかけて、どこを省くか、などのディレクションも自分から提案したり。それから、コンセプトを考えるときに大切にしてる、「お母さん理論」っていうものがあるんですど、お母さんに説明した時にそのコンセプトがすぐに分かってもらえるか、っていう一つの判断基準があって、それが出来れば、ストレートに誰にでも伝わると思うんですよね。

最終的な目標はありますか?

別に大きな仕事がしたい、っていう願望はないです。どんな仕事でも経験できる事の大きさの差はあまり無いと思うんです。
自分で作って面白いこと、見た人や関わった人が良いねって思える仕事ができればいいですね。
お金をもらうっていう意識でなく、価値のあるものを作る、おいしいものを作るっていうことを重視したいです。いいデザインをすればお金は後から付いてくるんじゃないか、とも思っています。でも、生きて行くには必要だから、考えないといけないなとは感じているんですけどね。
あとはディレクションに自分がどう関わるか、はすごく大切だと思っているので、アートディレクターの言葉がクライアントに対して提案できる言葉なら、そうなりたいな、と思います。でも、手を動かしてデザインすることも好きなので、自分もデザインして、ディレクションもしていきたいです。


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シンプルで綺麗なデザインを作る仲村さんの優しい口調と言葉選びは、
彼の穏やかな人柄と真面目な考え方を、私たちに気持ちよく伝えてくれました。

 


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仲村健太郎

1990年福井県生まれ。
京都造形芸術大学情報デザイン学科
コミュニケーションデザインコース在籍中。
趣味は本屋さんにいくこと。

WEB: http://www.nakamulak.com/
MAIL: info.nakamulak(at)gmail.com


About

展覧会・イベント企画やフリーペーパー発行など、積極的なアーティスト支援活動を行っている京都・関西の美大生団体「SHAKE ART!」による、「京都で遊ぼうART」特別連載コーナー!京都の新たなアートの波=KYOTO NEW WAVE を生み出す、旬の若手アーティストを毎回ご紹介していきます。

Profile

SHAKE ART!

関西の美大生団体SHAKE ART!は若手アーティストや美大生をプロデュース。人や作品を出会い繋ぐきっかけづくりをしています。イベントや展覧会の企画運営やフリーペーパーを発行しています。



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