野村美術館では2014年春季特別展(前半)として、「あめんぼコレクション」による19世紀京都の芸術と文学を代表する女性歌人、大田垣蓮月尼(1791~1875)の作品展を行います。
「あめんぼコレクション」は京都に長く住む二人の人物、アメリカ人学芸員ジョン・ウォーカーとオーストリア人社会学教授、ガブリエレ・ハードによって収集されたコレクションです。
蓮月は、江戸時代の後期、家老と芸者の間に生まれました。誠(のぶ)と名付けられた彼女は、生後間もなく知恩院の寺侍に預けられて育ち、8歳の頃に奉公に出された亀岡城で女性に相応しい教養を身に着けました。やがて結婚しますが、子どもは夭折し夫も早くに亡くなってしまうなど、彼女は若くして多くの家族を失うという悲劇に見舞われます。32歳にして仏門に入り、蓮月となった彼女は、それから間もなく、和歌と陶磁器の制作に取組み始めます。蓮月の創作活動は明治に入り85歳で亡くなるまで続きました。
蓮月が作った全ての陶磁器には、自身の和歌が独特の書体で描かれ、あるいは刻まれています。彼女の歌は伝統的な慣習に則りながらも、個性的で、放浪の尼であった自らの経験が基になっています。
今回の展覧会では、蓮月と他の芸術家たち、富岡鉄斎、冷泉為恭、和田呉山などとのユニークな合作を含め、酒、煎茶、茶会のための絵画・書跡・陶磁器など100点以上の作品を展示します。
京都では1984年以来となる本格的な蓮月展となります。この機会を是非、お見逃しなく。
※【前期】3月8日(土)~30日(日)/【後期】4月1日(火)~20日(日)
前期・後期で一部作品に展示替がございます。
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