古い地図といえば、縦(京都の場合は南北)が人の背丈ほどもある大きな地図がよく知られています。これは「大図」と呼ばれ、古地図の研究ではこの大図の変遷や発展が中心になっています。
しかし、実際に人々に対して商品として普及したのは、「小図」とよばれる縦50cmぐらいのもの、または「中図」とよばれる縦70~90cmぐらいの地図でした。
小図・中図は、大図に比べて情報量やその詳しさでは劣りますが、携帯に便利であること、野外で使えるといった利点から一般に広く普及しました。出版者もいろいろな工夫をこらし、多種多様な地図が産み出されています。
今回の展覧会では京都の古地図収集・研究家 大塚 隆氏から寄贈された1,000点あまりの古地図コレクションの中から、特に江戸時代に出版された小図・中図を選び、展示します。