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(1)上野伊三郎+リチ「スターバー」内装 1930年
(2)マイケル・ブレナンド=ウッド《おしゃべり》1987-88年 (京都国立近代美術館蔵)2013年に開館から50周年を迎える、京都国立近代美術館。
記念特別展となるこの展覧会では、開館当初から美術館の柱としてきた「工芸」に注目します。
京都国立近代美術館は、1963年の開館当初から、京都の地場産業である陶芸や染織といった「工芸」に重点を置いた活動を続けてきました。その姿勢は開催する展覧会はもちろん、作品の収蔵方針にも反映されています。
今回の展覧会では、開館記念展「現代日本陶芸の展望」に出品された代表作に美術館の原点を探ると共に、その後毎年開催される「工芸展」の出品作から、多彩な「工芸」コレクションが形成されていった経緯を紹介しながら、これまでの50年間の歩みを振り返ります。
テーマは「交差する表現」。
現代の工芸の状況を見渡し、振り返って明治時代からの日本の工芸の動向を再考すれば、陶芸が盛んに作られたり、優れた伝統の継承が行われる一方で、もはや工芸の域を脱してジャンルを超えて共鳴しあう「表現」もあります。その「表現」にこそスポットを当ててみたい、という思いから、このテーマは設定されました。
展覧会は全館を使った2部構成。
第一部では、工芸の「表現」そのものに着目し、明治時代における工芸家と日本画家の共演や、近代化とともに生活に浸透するデザイン意識の芽生え、さらには建築を核に総合芸術へと発展していくその展開を探ります。
第二部では美術館の工芸コレクションの核となっている陶芸や染織、ガラス、ジュエリーなど約150点を中心に、改めて美術館のこれまでの歴史、そしてコレクションの魅力を紹介します。
※上野伊三郎+リチ「スターバー」再現展示
美術館1階ロビーでは、建築家の上野伊三郎氏と工芸デザイナーのリチ夫妻による共作「スターバー」の内装を原寸大で再現展示します。この作品は、1932年のニューヨーク近代美術館で開催された初の建築展にても紹介されたものです。工芸と建築のジャンルを超えた総合芸術の具体例を実感してください。
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展覧会 特設サイト