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Exhibition Review! 【『細見美術館 アートキャンパス2009―日本美術の見方―』に行ってきました。】

Exhibition Review! 『細見美術館 アートキャンパス2009―日本美術の見方―』に行ってきました。 現在開催中の京都の展覧会を、「京都で遊ぼう ART」が直接取材!展覧会の生の雰囲気をレポートしていきます。

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美術館入り口。
広報担当の三宅様がいらっしゃいました。
「今日はよろしくお願いします!」

7月11日(土)に、細見美術館で開催の夏季展「細見美術館 アートキャンパス2009」にSomethingがお邪魔してきました。初日ということもあり、どのくらいの方が来ていらっしゃるのかと思っていたら、結構な数の方が朝からいらっしゃっていました。

この展覧会は、主に「琳派にみるアーツ&クラフツ」「若冲『糸瓜群虫図』となかまたち」「風俗画の魅力―遊びと装い―」「神仏に捧ぐ―祈りの形―」の4部構成。いまや細見美術館の代名詞ともなっている琳派作品から、最近ブームの伊藤若冲、江戸時代の風俗画、そして仏教や神道に関する宗教美術まで、細見美術館の人気・有名作品がずらりと並ぶ非常に欲張りなラインナップとなっています。

しかし、今回の展覧会は、ただの「名品展」「コレクション展」とはひと味もふた味も違います。
というのも、この展覧会のコンセプトは「アートキャンパス」=「美術の学校」。それを意識した色々な工夫やしかけがあちこちに見られます。

そのひとつがチケット。今回、チケットは「受講証」という位置づけで、IDカードのように首から提げて館内を回るという形になっています。恐縮にも、スタッフがこれを使用する第一号となりました…ちょっと照れくさい!しかし一方で、何だか「関係者です!」といったような感じも味わえて、妙に嬉しくもなってしまいました。


館長ARTトーク 11日のテーマは「伊藤若冲」

展示室待機中。
恐らく50人近くにはなっていたのでは…。

この日は初日ということで、当日開催された細見良行館長が自ら作品の解説をして下さるイベント「館長アートトーク」にも参加させて頂きました。

トークは主に二部構成になっていて、前半は実際に作品を展示室で見ながらお話をしてくださる「ギャラリートーク」形式。後半は展示作品やそれ以外の関係作品をモニターやスクリーンで見ながら解説をお聞きする「スライドレクチャー」の形になっています。
この日のトークテーマは最近大人気の「伊藤若冲」
多数の雑誌などにも取り上げられたり、大々的に展覧会も多く開かれたりするなどして、すっかり有名になった江戸時代の画家です。

待機場所だった展示室は、あっという間に人でいっぱいになり、細見館長も、初日にもかかわらずこの人手の多さに少々驚いておられたご様子でした。


虫の足の節々や斑点模様、肉眼では見えないところまで描く ― それが若冲の「丁寧」に描くということ

糸瓜群虫図(へちまぐんちゅうず)

今回は、この絵と一緒に画家・富岡鉄斎の書簡も展示されています。 鉄斎は、この書簡の中で「この絵はすごい!」と評しています。 今回だけの特別展示。これは必見!

トークの中心は、今回の展覧会の目玉作品でもある「糸瓜群虫図(へちまぐんちゅうず)」。
若冲といえば、有名な「動植綵絵(どうしょくさいえ)」のように、色鮮やかかつ細密な筆遣いで、植物・虫・鳥などの生き物をリアルに描いた写実的な作品がよく知られていますが、この作品も糸瓜とカマキリや蝶など、その周辺に暮らす虫たちの姿を非常に丁寧に描いています。

その「丁寧」というのが普通の丁寧のレベルではない、というのが若冲のミソ。
細見館長のお話によると、以前非常に高性能のカメラを使って拡大写真を撮ったところ、虫の足の節々や斑点模様など、肉眼ではほとんど分からないようなところまできちんと描かれていたのがはっきりとわかったのだそうです。絵の横にその拡大写真も展示されていましたが…確かに、虫の足に生えた毛までちゃんと描かれていました。虫眼鏡でも当てないと見えない、そんなところにまで気を配る若冲の丹念さに驚かされます。

絵の説明をする細見館長。
お客様は夢中になって、聴いていました。

鼠婚礼図(ねずみのこんれいのず)

寛政8年(1796)の作。
これはか、可愛い・・・絵本の挿絵みたい。

題材は鶏が中心。
水墨画は筆のタッチや勢いもよくわかります。

館長は、それについて「神仏の目で描いているから」とご説明されていました。人間の目では見えないけれど、神様や仏様には見える。だから細かなところも手を抜くことなく、ここまで細密な絵を描いたのだ、と。事実、この絵には平安時代の仏画にも用いられていた「裏彩色」という技法も使われているのだそうです。
また、琳派や若冲の作品は館長のお父様が中心に集めていらっしゃったそうですが、この絵は仏教美術を収集していたお祖父様(初代)が購入したものだそう。
「祖父もこの絵に仏教美術と同じものを感じたのでは」と館長は仰っていました。

若冲は京都・錦市場の非常に大きな青物問屋(八百屋)の跡取り息子でした。その規模は「今で言うなら一部上場企業(!)」。しかし全く商売には興味がなく、早々に弟に店を譲って隠居してしまい、遊びも酒も結婚もせずに、一生ひたすら絵だけに打ち込んだといいます。
館長の言葉をお借りすれば、「大人になってもひとつのものをじっと見続ける、「ピーターパン」のような人」
つまり、どこまでも一途に好きなことを追い続ける、子どものような純粋さの持ち主だったのかもしれません。

また、若冲といえば極彩色のイメージがありますが、実はその作品の多くは水墨画なのだそう。細見美術館の所蔵する若冲作品も、多くはモノクロの水墨画で、同じ展示室内には他に動植物を題材とした作品が並んでいました。中には「鼠婚礼図(ねずみのこんれいのず)」などまるで絵本の一場面のような可愛らしい作品も観られ、どれも表情豊かでどこか暖かな空気が感じられます。

神仏に向ける畏敬の念と、いのちを見つめる優しく暖かな視線。現実と幻想の狭間。そこに若冲の作品はあるのかも―

細見館長曰く、「若冲は絵のタッチは神経質だが、そのまなざしはどこまでも優しい。若冲の優しい、ユーモラスな性格が表れています」とのこと。
ううん、きっと子どもみたいにピュアで、話していて面白い人だったんでしょうね。
「尾形光琳とは正直友達にはなりたくないですが、若冲とならきっといい友達になれていたと思いますよ(笑)」と細見館長も仰っていました。


お時間としては約1時間半といった具合でしたが、とても魅力的で楽しいお話に、あっという間に引き込まれて時間が過ぎてしまいました。
解説やギャラリートークって難しそう…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
同行していたカメラ担当のスタッフも、「自分はあまり詳しくなかったけれど、ぜんぜん難しくなくて、聞いていてとても楽しかった」と話していました。

作品を見ているだけではわからないことがいっぱいで、「そうだったのか!」と驚かされたり、思わずにんまりしてしまったり。ただ見に行くよりも展覧会が何倍も楽しくなる、とても素敵な時間でした。
これは誰でも日本美術大好き!になってしまいそうです。

NEXT 学芸員さんに「アートキャンパス2009」について、インタビュー!


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