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※この記事は掲載時(2015年3月)の情報に基づきます。

特集記事

京都MUSEUM紀行。第二十二回【京都大学総合博物館】

京都ミュージアム紀行 Vol.22 京都大学総合博物館

  • “そこは、京大を覗き見できる「知の宝物庫」。
  • “最新の研究成果にも出会えます。

最新の研究成果にも出会えます。

京都大学総合博物館では、既存の資料をよりわかりやすく紹介するための研究やプロジェクトも行われています。
例えば、2010年に開催された企画展「いま、御土居がよみがえる」では、桃山時代に豊臣秀吉が造った土の壁「御土居」の姿を再現したデジタルコンテンツ「御土居ビューア」が発表されました。
今ではほとんど忘れられてしまいましたが、江戸時代の京都は、秀吉の造った御土居に囲まれていました。御土居の上には竹が植えられていて、幕府の官有林として使われていたため、その管理のために担当の役人が丁寧に測量した絵図を作りました。「御土居ビューア」の元になったのはその絵図。全長25キロの御土居を描いたその絵図は全7巻130メートル。あまりの長さに広げるだけでも一苦労な代物でした。そこでこの絵図を最新のスキャン技術を用いてデジタル化することが試みられたのです。


御土居ビューアの画面。タッチパネル方式で簡単かつ直感的に操作ができます。
わかりやすい解説動画も見ることができます。
通常は2階に設置されているそうなので、お見かけの際はぜひ体験を。

「デジタル化には、大学の工学研究科で開発された最新のスキャナが使われたんです。1年がかりのプロジェクトでしたが、こういうことができるのも大学ならではかもしれませんね」とお話してくださったのは、プロジェクトに携わった岩崎奈緒子先生。
制作された「御土居ビューア」では、7巻が画面上でつなぎ合わせられ、簡単に御土居の全体像を把握することができるほか、拡大縮小も自在で細かい部分もじっくりと観察することができます。また、背景にに現代の地図を重ねて見られるなど、色々な工夫が施されており、御土居の研究も大いに進んだそうです。
実際に研究者が使っている最新のツールにいち早く触れられたり、現在進行形の研究成果に出会えるのも、大学のミュージアムならではです。何度足を運んでも、行くたびに新しい発見にめぐり合えることでしょう。

子どもたちも大歓迎。気軽に触れられるユニバーシティの世界。

京都大学総合博物館の取り組みは、展示や研究発表だけに留まりません。なかでも子供向けのイベントには早くから力を入れており、毎週土曜日に行われている「子ども博物館」は10年以上続いている定番企画。研究者のタマゴである大学院の学生さんが講師役となり、自分の専門分野について子どもたちに教えるというイベントで、毎回学生さんが工夫を凝らしたユニークなブースが博物館のエントランスに登場します。

「爬虫類を研究している人は、実際に飼っている生き物を連れてきて子どもたちに触らせてくれたりもしていますよ。子どもたちは自分の興味にあわせて好きなブースを選んで楽しめますし、知らなかった分野に触れることで視野が広がることもあると思います」と岩崎さん。なかには常連さんや親子2代で参加している人もいらっしゃるそうです。
また、毎年夏休みには京大の先生をはじめ各分野のプロフェッショナルによる「夏休み体験教室」も開催されており、こちらも人気を集めています。
イベント開催時以外でも、学校の授業や修学旅行などで訪れる学生さんも多いそう。博物館を訪れたそんな子どもたちのなかから、未来を担う研究者も現れるかもしれません。

大学や研究者がどんなことをしているのか、普段の生活ではなかなか知ることができないもの。京都大学総合博物館はそのちょっと遠い世界の扉を開いて、身近に感じさせてくれる力があります。同時に、新しいことを知ることで自分の世界が広がっていく、「学ぶ」ということの本来の楽しさを思い出させてくれます。
「特に文化史に関する展示は、今まで集められてきた資料に向き合い、そこから新たにわかったことを発表する、ということが多いんです。そこで必要なのは発想力。それが、新しい発見を生む力になり、未来につながります。それこそが研究ということの本質なんじゃないかと思います。その発想の面白さや大切さ、それに取り組んでいる人の情熱を目に見える形で知ることができるのが、この博物館なんじゃないかと思います」と岩崎さんは仰っていました。
情熱ある研究者がいる限り、これからも京都大学総合博物館には、面白い新発想と発見の成果が登場し続けます。まさに現在進行形で進化し続けるミュージアム。きっと足を運ぶたびに、まだ見ぬ新しいものに出会うことができるはずです。


展示室内にも実際の資料作りの様子が垣間見られるスポットが。ここでは植物資料の作成の実演を行っています。

★ 京都大学ミュージアム連携

京都大学総合博物館をはじめ、京都には大学が設置している博物館や美術館が多数あります。京都大学ミュージアム連携は、これらの大学ミュージアムが共同で行っているプロジェクト。それぞれのお勧め・目玉所蔵品を集めた合同展覧会の開催や、テーマごとに所蔵品を貸し借りしての共同企画展など、さまざまな取り組みを通じて大学ミュージアムの魅力をアピールする活動を行っています。毎年秋冬にかけては参加施設をまわって一定数のスタンプを集めると、各大学ミュージアム特製のグッズがあたるスタンプラリーも開催。この機会に京都の大学ミュージアムをめぐってみては?

★ ミュゼップ

京都大学総合博物館はミュージアムショップもとてもユニークです。展覧会の図録や所蔵作品のクリアファイルといった定番、京大関係者の研究に関する書籍はもちろん、実際に研究に使用されている「フィールドノート」や特製の野外調査用カバン、幾何学パズル、理化学模型作家さんによるアクセサリー、化石のペンダントや鉱石の標本、などなど…他にはない不思議なものがたくさん揃っています。学問の世界がより身近になりそうなグッズに出会えますよ。

京都工芸繊維大学 美術工芸資料館

所在地

〒606-8501
京都市左京区吉田本町

開館時間

9:30~16:30(入館は16:00まで)

休館日

月・火曜日
創立記念日(6/18)
夏季一斉休業日(8月第3週の水曜日)
年末年始(12/28~1/4)

お問い合わせ

電話番号:075-753-3272

FAX:075-753-3277

公式サイト

http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/

■料金

一般:400円(団体:300円)
高校・大学生:300円(200円)
小・中学生:200円(100円)

■交通のご案内

【京阪電鉄】
「出町柳」駅下車、徒歩15分
(今出川通を東へ進み、百万遍の交差点を南に向かってすぐ)

【京都市バス】
3,17,31,201,203,206系統にて、「百万遍」で下車、徒歩約2分

※駐車場はありませんので、公共交通機関をご利用ください。

■その他注意事項など

※団体は20名以上(20名につき引率者1名無料)
※70歳以上の方・障害をお持ちの方は無料
※車椅子での見学:可
※授業での見学など、学校教育を目的とする観覧者(小中学校の生徒は当該学校教師の引率が必要)は入場無料です。事前申請が必要となりますので来館一週間前までに、申請書(ホームページよりダウンロード)を郵送願います。




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