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京遊×橋本関雪記念館 白沙村荘の庭から 第二回

京遊×橋本関雪記念館 白沙村荘の庭から 第二回 京都市左京区白沙村荘橋本関雪記念館

京都には大小さまざまなミュージアムがありますが、その中には現在も人が暮らしている家の一部をそのまま公開しているようなところもあります。そんなミュージアムのひとつが、日本画家・橋本関雪の建てた邸宅である白沙村荘 橋本関雪記念館。その副館長で関雪の曾孫である橋本眞次様に、普段はちょっと分からない、美術館での日々を徒然と綴っていただくコラムです。

キラキラと輝く水面を眺めていると、急に庭に呼ばれている気がしました。

ある涼やかな風の吹く気持ちのよい朝のこと、珍しいことに一緒に茶でも飲もうと父が呼んでいるというので私は来客用の座敷へと赴きました。

当時の私はというと21歳になった頃合いで、今後の方向性について一応色々と考えていた最中でしたが、傍から見ているともどかしかったのか当時はよく叱られていました。ですからおそらくはその件かと思いながら、勧められるままに茶を飲み言葉を待ちました。

話を聞くにつれて呼び出された理由が徐々に解ってきました。どうやら本格的にこの仕事に関わる気はないかということを打診したい様子でした。少し逡巡しながら話を続けていましたが、その時ふと座敷から見えていた池の景色が晴れ間にあたり美しく輝き始めたのが目に映りました。


実はその頃までまともに庭と向かい合った事は無く、橋本関雪なる人物も祖先だとは知っていながらもいつの時代の何をしていた人なのかを知らずにいたのでした。キラキラと輝く水面を眺めていると、急に庭に呼ばれている気がしました。その事を父に話すと、返事はありませんでしたが珍しくニヤリと笑いながら茶を飲んでいました。

実際に本腰を入れ始めたのはそれから2年が経ってからのこと。何も知らずに手伝い等は出来ませんので、毎日庭の事をしながら勉強をしていました。

この庭と関雪という人物を知るにあたり、実に様々なことを覚えなければいけない上、父の病状が悪化してしまい一時期は大変でしたが、若いうちにいい経験を積ませて貰ったことに非常に感謝しています。またいつか自分の子に話を切り出す時には、同じように茶をすすめながらあの時と同じ景色を見せてみようかと思っています。上手く行った時には多分ニヤリと笑う事でしょう。

橋本関雪の孫である父・橋本歸一


施設情報

白沙村荘(橋本関雪記念館)
京都市左京区浄土寺石橋町37
公式ホームページ

施設の概要はこちら

著者プロフィール

橋本眞次(はしもと・しんじ)
1973年、京都生まれ。
大正・昭和にかけて活躍した日本画家、橋本関雪の曾孫にあたる。
23歳の頃、関雪に興味を持ち父の仕事を手伝いながら資料編纂などに携わる。
現在は白沙村荘 橋本関雪記念館の副館長として活動中。

公式ブログ「京都の庭ブログ」はこちら↓
http://hakusasonso.kyo2.jp/

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